『涼宮ハルヒの戸惑』は、2008年にバンプレストからPlayStation 2向けに発売されたアドベンチャーゲームで、人気ライトノベル『涼宮ハルヒ』シリーズを原作としたゲーム作品のひとつです。本作は「SOS団ゲーム製作アドベンチャー」という独自のジャンルを掲げ、プレイヤーは主人公・キョンの視点から、涼宮ハルヒをはじめとするSOS団のメンバーと共に“ゲームを作る”という異色の物語を体験します。

物語は、ハルヒの突飛な思いつきによって始まります。コンピュータ研究会が勝手にゲームを大会に出品したことに腹を立てたハルヒは、「自分たちでゲームを作ってすり替える」と宣言。こうしてSOS団によるゲーム制作がスタートしますが、完成したゲームに満足できなかったハルヒの力によって、時間が4週間前に巻き戻されてしまいます。以降、プレイヤーはループする時間の中で、ハルヒが納得するゲームを完成させるために奔走することになります。

ゲームは、スケジュール管理やキャラクターとの交流を通じて進行し、完成したゲームは実際にプレイ可能。RPG、シミュレーション、恋愛SLG、カードバトルなど、ジャンルの異なる6種類のゲームが登場し、それぞれにGOOD/BADバージョンが存在します。作業の進捗やキャラクターの感情、好感度によって完成度が変化し、バグが発生することもあるなど、細かな演出が魅力です。

また、ゲーム中のイベントやキャラクター同士のやり取りは原作の雰囲気を忠実に再現しており、ファンにはたまらない内容となっています。特に、作中で登場する「スーパーSOS大戦」などは、スパロボシリーズのパロディとしても話題を呼びました。

『涼宮ハルヒの戸惑』は、ゲーム制作というメタ的なテーマを通じて、原作の“非日常”を体験できるユニークな作品であり、ハルヒファンにとっては見逃せない一本です。