『パレドゥレーヌ』は、中世ファンタジー風の王国を舞台に、若き王女として政治・外交・軍事を司り、真の女王を目指す女性向けプリンセスシミュレーション。2007年10月18日にインターチャネル(後にガンホー・ワークスへ事業譲渡)からPlayStation 2で発売され、工画堂スタジオが手掛けた本格的な戦略性と、魅力的な騎士たちとのドラマが融合した意欲作として高い評価を得ました。

物語は、建国200年を迎える「ターブルロンド王国」で、国王の急死と王子の行方不明という不測の事態から始まります。唯一の継承者である主人公フィーリアは、王位簒奪を狙う宰相からの執拗な妨害に直面します。王として認められるためには、一年後の「再承認の儀」までに、国内の有力な領主たちから過半数の支持を取り付けなければなりません。プレイヤーは王女として、信頼できる騎士たちと共に、荒廃した王国の再建と王権の確立に挑みます。

ゲームシステムは、ターン制で進行する本格的なシミュレーション形式を採用しています。プレイヤーに与えられた一年間という猶予の中で、騎士を各地に派遣して領主を説得させたり、賄賂や決闘などの手段を駆使して支持を集めたりといった、戦略的な判断が常に求められます。内政では財政の立て直しや民衆の支持獲得、軍事では闇の勢力の討伐や反乱の鎮圧など、解決すべき課題は多岐にわたります。

本作の大きな魅力は、総勢34名にのぼる膨大な攻略対象キャラクターです。共に戦う「七人の騎士」や、対立候補となる有力者、さらには一癖ある各地の領主たちなど、幅広いタイプのキャラクターとの交流が描かれます。特定の条件を満たすことで彼らとの親密度が高まり、女王としての戴冠を目指す物語の裏側で、深い信頼や愛を育む恋愛要素も充実しています。PS2版では、PC版に寄せられたユーザーの声を反映し、追加イベントや操作性の改善が図られました。

ビジュアル面では、人気イラストレーターの皇なつき氏がキャラクターデザインを担当。繊細で気品溢れるタッチで描かれたキャラクターたちが、重厚な王国の歴史物語に彩りを添えています。また、石田彰氏や諏訪部順一氏をはじめとする豪華声優陣による音声演出が、緊迫した交渉シーンや甘い告白の瞬間を鮮烈に描き出しており、シミュレーションとしての手応えと、乙女ゲームとしての高揚感を両立させた一作に仕上げられています。

『パレドゥレーヌ』は、PCゲームの老舗である工画堂スタジオ(うさぎさんちーむ)が制作したWindows用ソフトを原作としています。「淑女のための本格戦略シミュレーション」という独自のジャンルを切り拓き、その奥深いゲーム性と美しい世界観により、後にリマスター版がSteamで配信されるなど長く愛されるタイトルとなりました。

パレドゥレーヌ