『Chanter〜キミの歌がとどいたら#〜』は、廃部寸前の合唱部を舞台に、歌を愛する少年少女たちが織りなす心の交流を瑞々しく描く音楽学園恋愛アドベンチャー。2007年8月30日にインターチャネル・ホロンからPlayStation 2で発売され、PC向けに高い評価を得た純愛ストーリーに、家庭用独自の新規エピソードを大幅に加えた移植版として登場しました。

物語の舞台は、歴史ある私立学園。主人公の如月秋人は、部員が自分一人だけになってしまった合唱部を守り続けています。廃部の危機に直面しながらも、歌うことへの情熱を捨てきれない秋人の前に、それぞれの悩みを抱えた少女たちが現れます。彼女たちを部に勧誘し、共に歌声を重ねていく過程で、秋人は自身の過去や音楽に対する真摯な想いと向き合うことになります。

ゲームシステムは、テキストを読み進めながら選択肢によって物語を分岐させるオーソドックスなアドベンチャー形式を採用しています。本作の最大の特徴は、タイトルの通り「歌」が物語の重要なモチーフとなっている点です。合唱コンクールや文化祭といったイベントに向けて練習を積み重ねる中で、ヒロインたちの歌声に込められた感情が、プレイヤーの選択によって恋愛の行方や物語の結末を左右します。

PlayStation 2版の大きな魅力は、家庭用オリジナルの追加シナリオと新ヒロインの登場です。PC版では攻略対象外だったサブキャラクターの「槙野真紀」と「和多田ひなた」の二名がメインヒロインへと昇格し、彼女たちの個別ルートが用意されました。既存のルートにも多数の新規イベントCGやエピソードが盛り込まれており、全編にわたる実力派声優陣によるフルボイス化が物語の没入感をより一層高めています。

ビジュアル面においても、PC版で定評のあった透明感のある美しいイラストがPlayStation 2の画面に合わせて最適化されています。物語を彩る挿入歌やBGMの質も非常に高く、静かな図書室や放課後の屋上といった叙情的な風景と相まって、音楽をテーマにした作品ならではの情緒的な空気感を演出しています。歌声が繋ぐ心と心の交流を丁寧に描き切った、瑞々しい学園ドラマに仕上げられています。

『Chanter〜キミの歌がとどいたら#〜』は、美少女ゲームブランド「テリオス」が2006年に発表したPCソフト『Chanter -キミの歌がとどいたら-』を原作としています。合唱という珍しい題材と、真摯な人間ドラマが融合した本作は、多くのユーザーから「歌」にまつわる名作として支持されました。

Chanter -キミの歌がとどいたら-