『転生學園』(てんしょうがくえん)は、現代の学園生活と古(いにしえ)より続く「天魔」との戦いを描く、ジュブナイル色濃厚な学園伝奇アドベンチャー+シミュレーションRPG。第1作『転生學園幻蒼録』が2004年5月27日に、続編となる『転生學園月光録』が2006年11月22日に、共にアスミック・エース エンタテインメントからPlayStation 2で発売されました。

本シリーズの舞台は、霊峰富士の裾野にある「天照郷(てんしょうごう)」と呼ばれる特殊な地域です。プレイヤーは、異能の力に目覚めた高校生となり、学園生活を送りながら仲間を集め、夜な夜な出現する「天魔」を討伐します。ゲーム進行は、会話やイベントを通じてキャラクターとの絆を深める「アドベンチャーパート」と、グリッド状のマップで戦う「バトルパート」に分かれています。最大の特徴は、会話中に表示される円形のインターフェースで「愛・怒・悲」などの感情を入力し、相手へのリアクションを決めるシステムです。この応答によって好感度が変化し、仲間のステータスや物語の展開に影響を与えます。

第1作『幻蒼録』は、転生と宿命をテーマにしつつも、独特のテンポやシステム周りの粗さが目立つ野心作でした。続く『月光録』は前作から5年後の世界を描いており、『幻想水滸伝』の村山吉隆氏をシナリオに、『スターオーシャン』の桜庭統氏を音楽に迎えるなど制作体制を強化。学園生活の描写を大幅に増やし、前作のキャラクターも成長した姿で登場するなど正統進化を図りましたが、戦闘のテンポやシナリオの整合性など、依然として評価の分かれる部分も残しました。

両作共に、岩崎美奈子氏による繊細で魅力的なキャラクターデザインと、鳥海浩輔、櫻井孝宏、石田彰といった豪華声優陣の起用が大きな魅力となっています。学園モノ特有の明るさと、伝奇モノのオカルトな雰囲気が同居した世界観は、システム面の不親切さを補って余りある独特の引力を持っており、キャラクターへの愛着で遊び込むファンを生み出しました。

転生學園幻蒼録

転生學園月光録

『転生學園』シリーズはオリジナル作品ですが、キャラクターデザインを担当した岩崎美奈子氏は、『ルーンファクトリー』シリーズなどでも知られる人気イラストレーターです。和風と制服を調和させた独自のデザインセンスは、本シリーズのビジュアルアイデンティティを決定づけています。

岩崎美奈子 画集