『キミキス』は、高校生活を舞台に「キス」をキーワードとして少女たちとの心の距離を縮めていく恋愛シミュレーション。2006年5月25日にエンターブレインからPlayStation 2で発売され、2008年2月14日にはロード時間の短縮やミュージアムモードなどの追加要素を盛り込んだ改良版『エビコレ+ キミキス』が登場しました。

物語は、中学時代の2年間を他県で過ごした主人公が、高校2年生の進級を機に地元の輝日南(きびな)高校へと戻ってくるところから始まります。幼馴染やクラスメイトとの再会、そして新たな出会い。限られた高校生活の中で、主人公は個性豊かなヒロインたちと対話を重ね、友情から恋へと至る過程を体験します。本作は単なる恋愛劇に留まらず、キャラクター一人ひとりが抱える葛藤や成長が丁寧に描かれているのが特徴です。

本作を象徴する独自のシステムが、会話中に提示される「アクションアイコン」です。通常のテキスト選択肢だけでなく、ヒロインとの物理的な距離感や親密度に応じて「見つめる」「触れる」といった直感的な行動を選択できます。この選択が会話のムードや相手の反応に劇的な変化をもたらし、プレイヤーはあたかもその場にいるかのような緊張感と高揚感を持ってコミュニケーションを楽しむことができます。

ゲームの最終的な目標は、夏休みや学園祭といったイベントを経て、意中のヒロインと「キス」を交わすことです。しかし、そこに至るまでの道筋は平坦ではなく、日常の些細な会話や放課後の寄り道の積み重ねが好感度や「ムード」を左右します。多田彰文氏が手掛ける瑞々しいBGMや、高山箕犀氏が描く繊細で美しいキャラクターデザインが、甘く切ない学園生活の空気を鮮やかに彩ります。

改良版である『エビコレ+』では、ユーザーからの要望に応えてシステム周りが大幅に洗練されました。快適なプレイを支える高速なロード処理に加え、過去に見たイベントやCGを自由に鑑賞できる「ミュージアム」などのファン要素が充実しています。発売後にはテレビアニメ化やコミカライズといった大規模なメディアミックスも展開され、初恋の記憶を呼び起こすようなその瑞々しい物語は、今なお多くのファンに愛され続けています。

『キミキス』は、エンターブレイン(現KADOKAWA)が企画・制作した完全オリジナルの恋愛シミュレーション作品です。本作のヒットにより、2007年にはテレビアニメ『キミキス pure rouge』が放送されるなど、多方面での展開が行われる一大コンテンツへと成長しました。

キミキス