『水の旋律』は、人魚伝説をモチーフにした現代和風ファンタジーの世界で、過酷な宿命に翻弄される少女の恋を描くゴシックロマンスアドベンチャーゲーム。2005年09月29日にKIDからPS2で発売されました。その後、2009年12月24日には、サイバーフロントからPSPへの移植版も発売されています。物語の主人公・白石陽菜は、父親の海外赴任を機に、幼い頃に暮らしていた「尚和町」へ戻ってきます。しかし、そこで彼女を待っていたのは、人魚の肉を食した八百比丘尼(やおびくに)の血を受け継ぐ二つの種族、「一謡(いちよう)」と「九艘(くそう)」による数百年続く暗闘でした。どちらの陣営に属する男性の手を取るかによって、彼女の運命と恋の結末は大きく変わることになります。
ゲームプレイは、テキストを読み進めながら選択肢を選んでいくノベル形式で進行します。本作の大きな特徴は、主人公が関わることになる二つの勢力が明確に敵対関係にある点です。攻略対象となる男性キャラクターたちは、それぞれ一謡か九艘のどちらかに所属しており、プレイヤーの選択によって主人公はどちらかの勢力に加担することになります。また、主人公自身も「天泣(てんきゅう)」と呼ばれる、感情が高ぶると雨を降らせる特殊な力を持っており、その能力の秘密や一族の因縁を解き明かすことが物語の重要な鍵となります。
本作の独自性は、ひだかなみ氏による透明感あふれるキャラクタービジュアルと、決して綺麗事だけでは終わらないシリアスなシナリオにあります。敵対する種族間の恋愛はいわゆる「ロミオとジュリエット」的な悲恋の要素を含んでおり、互いの正義や憎しみが交錯する中で、裏切りや別離といった重い展開も描かれます。単なる学園恋愛ものではなく、伝奇サスペンスとしての読み応えと、豪華声優陣によるドラマチックな演技が融合し、切なくも美しい純愛の物語を堪能できる作品となっています。
本作のキャラクターデザインを担当したひだかなみ氏は、優しい色使いと繊細なタッチで知られるイラストレーターです。本作のような乙女ゲームだけでなく、ライトノベルの挿絵や児童書など幅広いジャンルで活躍しています。本作のビジュアルに惹かれた方は、氏の画集や関連するイラスト作品を手に取ることで、その温かくも幻想的なアートワークの世界をより深く味わうことができます。













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