『ザ・キング・オブ・ファイターズ 2003』のPlayStation 2版は、2004年10月28日にSNKプレイモアより発売された2D対戦格闘ゲームで、KOFシリーズの第10作目にあたります。アーケード版をベースにしつつ、PS2ならではの追加要素や演出強化が施されており、「アッシュ編」の幕開けを飾る重要なタイトルです。
PS2版最大の特徴は、シリーズ初のリアルタイムキャラ交代制「マルチシフトシステム」の導入です。従来のラウンド制ではなく、3人のキャラクターを自由に交代しながら戦う形式となり、スピーディーかつ戦略的なバトルが展開されます。さらに、チーム内の1人を「リーダー」に設定し、そのキャラのみが使用できる「リーダー超必殺技」が新たに追加され、キャラ選択の奥深さが増しました。
PS2版では、アーケード版にはなかった新ステージやアレンジBGM、ギャラリーモードが追加されており、ファンにとっては嬉しい要素が満載です。また、隠しキャラクターとして「KUSANAGI」「神楽マキ」「アーデルハイド」「無界」などが使用可能で、条件を満たすことでプレイアブルキャラとして解禁されます。さらに、背景の2D/3D切り替えや、オリジナルとアレンジのBGM選択も可能で、演出面の自由度も高くなっています。
一方で、ゲームバランスに関しては賛否が分かれており、特に「デュオロン」と「大門五郎」の組み合わせ(通称“DDコンビ”)による即死コンボの存在や、交代攻撃を利用した強力な連携が問題視されました。また、ふっ飛ばし攻撃や先行入力の廃止、SE(効果音)の質感など、従来作と比べて操作感や演出に違和感を覚えるプレイヤーも少なくありませんでした。
それでも、PS2版『KOF2003』は、シリーズの新章を告げる意欲作として、また家庭用ならではのボリュームと演出を備えた作品として、多くのファンに支持されました。後の『KOF XI』へと続く「アッシュ編」の導入としても、重要な位置づけのタイトルです。
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