『桜坂消防隊』は、すべてを焼き尽くす紅蓮の炎に立ち向かい、逃げ遅れた人々の命を救い出す消防士アクションアドベンチャーゲーム。2004年06月10日にアイレムソフトウェアエンジニアリングからPS2で発売されました。物語の舞台は、近年急速に発展した架空の地方都市「桜坂市」。主人公の新人消防士・本条大地は、かつてエース消防士として活躍しながらも謎の殉職を遂げた兄の遺志を継ぎ、桜坂消防署の一員として過酷な火災現場へと身を投じます。単なる事故とは思えない連続火災の発生と、現場で見え隠れする不審な影。炎の中に隠された真実を暴くため、熱気と黒煙が渦巻く極限のミッションが幕を開けます。
ゲームプレイは、3Dで描かれた火災現場を探索し、消火活動と人命救助を並行して行うアクションパートが中心となります。プレイヤーは放水ノズルを装備し、火の勢いに応じて「棒状放水」と「噴霧放水」を使い分けながら進路を確保します。最大の特徴は、AIで動く仲間の隊員たちと連携するチームプレイです。斧で障害物を破壊できる隊員や、怪我人を搬送できる隊員に的確な指示を出し、協力して活路を開く必要があります。また、現場には火災の原因となった「発火装置」や犯人に繋がる「遺留品」が落ちていることがあり、これらを回収することでクリア後の評価や物語の展開が変化するマルチエンディング方式を採用しています。
本作の独自性は、アイレム作品らしい「災害のリアリティ」へのこだわりにあります。密閉された室内で急激に酸素が供給された際に起きる「バックドラフト」や、天井付近に溜まった可燃性ガスが一気に発火する「フラッシュオーバー」といった危険な現象が再現されており、不用意にドアを開ければ爆発に巻き込まれる緊張感が常に付きまといます。単に火を消すだけでなく、風向きや建物の構造を読み、現場に残された証拠品から火災の背景にあるドラマ(事件か事故か)を推理するという、消防士と探偵の側面を併せ持った独自のゲーム体験を提供しています。
本作の開発はラクジンが担当し、プロデュースは『絶体絶命都市』シリーズのアイレムが行いました。災害現場の恐ろしさと、そこで働くプロフェッショナルの矜持を描いた点において、両シリーズには共通したスピリットが流れています。消防士という職業の過酷さや、炎と戦う男たちの熱いドラマに興味を持った方は、名作漫画『め組の大吾』を読むことで、現場での判断の重みや命を預かる責任感をより深く理解することができます。













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