『勝負師伝説 哲也 DIGEST』は、戦後復興期の闇社会で生きる玄人(バイニン)たちの激闘を、複数の視点から追体験できるイカサマ麻雀アクション。2004年5月27日にアテナからPlayStation 2で発売され、前2作の要素を凝縮しつつ新たなシステムを導入したシリーズの集大成的な一作です。
本作の最大の特徴は、タイトル通り原作の物語を「ダイジェスト」形式で楽しめる点にあります。主人公の哲也だけでなく、師匠である房州、宿命のライバルである印南、そして相棒のダンチといった主要キャラクターそれぞれの視点で描かれる「シナリオ対局」が用意されています。原作では語られなかった各キャラクターの心情や物語の裏側を補完する内容となっており、シリーズファンにとって非常に密度の高い体験を提供します。
システム面では、新たに「コンビ対戦システム」が搭載されました。これにより、二人一組で卓を囲む原作さながらの連係プレイが可能になっています。コンビを組んだ相棒に対し、「オヒキに徹せ!」「高目を狙え!」といった具体的な作戦指示を出せるだけでなく、相棒の打牌までもプレイヤーが直接決定できる「手動モード」も選択可能です。コンビ特有の「差し込み」や「通し」を戦略的に組み込むことで、一人での対局とは異なる多角的な駆け引きが楽しめます。
玄人ならではの華麗な技を再現した「玄人技」も大幅に拡充されました。「積み込み」「左手芸」「ツバメ返し」といった原作おなじみの技に加え、ゲームオリジナルの技を含めた100種類以上が収録されています。これらの技はシナリオの進行や対局での勝利を通じて収集・強化していくコレクション要素も兼ねており、獲得した技をどのように組み合わせて最強の玄人を目指すかという育成の楽しみも本作の魅力です。
対局後には、打ち筋や技の活用度に応じて「トーシロ」「雀ゴロ」「玄人」といった称号で評価が下されます。この評価は次の対局で使用できる技の制限や成功率に影響を与えるため、単に和了るだけでなく、いかに「玄人らしく」勝つかが重要となります。アニメ版と同じ豪華声優陣による臨場感溢れるボイスとカットイン演出が、戦後新宿のヒリつくような勝負の空気を鮮烈に描き出しています。
『勝負師伝説 哲也 DIGEST』は、さいふうめい氏(原案)と星野泰視氏(漫画)による人気漫画『哲也-雀聖と呼ばれた男』を原作としています。終戦直後の混沌とした日本を舞台に、麻雀という手段で己の運命を切り拓く男たちの情熱と技術の応酬を描いた金字塔的コミックです。












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