『3D格闘ツクール2』は、自分だけのオリジナル3D対戦格闘ゲームを自由に設計・制作できる格闘ゲーム制作シミュレーション。2002年8月29日にエンターブレインからPlayStation 2で発売され、ハードウェアの進化に伴い、前作(PS版)を遥かに凌ぐ精細なグラフィックスと緻密なシステム構築を実現しました。

キャラクター制作の根幹となるモデリングシステムは、PS2の表現力を活かした高度なものへと進化しました。顔の造形や体型、衣装のパーツを細かく組み合わせてキャラクターを作成できるほか、肌の質感やテクスチャの選択によって、よりリアリティのある、あるいは個性的な外見を作り出すことが可能です。作成したキャラクターには自由な名前やプロフィールを付与でき、物語性を感じさせる演出も楽しめます。

本作の最大の魅力は、技の動きを関節単位で詳細に設定できるモーションエディタです。パンチやキックといった基本動作から、複雑な軌道を描く必殺技、さらには投げ技の密着した挙動まで、1フレーム単位で編集が行えます。攻撃判定の発生タイミングや持続、ヒット時の重みといった格闘ゲームとしての手応えをプレイヤー自身の手で徹底的にチューニングできる点が、多くのコアユーザーを惹きつけました。

AI(思考ルーチン)の編集機能も大幅に強化されました。敵キャラクターがどのような状況でどの技を繰り出し、どのようにガードや回避を行うかという「ロジック」を細かく設定できます。これにより、単に見た目が異なるだけでなく、独自の戦術を持つ「生きたライバル」を作り上げることが可能です。エフェクト作成機能やカメラアングルの調整と組み合わせることで、プロが手掛けた作品さながらの迫力あるバトルシーンを構築できます。

制作したゲームデータはメモリーカードに保存され、家族や友人と対戦を楽しむことができます。自分だけの格闘大会を開催したり、作成したキャラクター同士を戦わせて観戦したりと、プレイヤーの数だけ遊び方が広がります。専門的なプログラム知識を必要とせず、コントローラひとつで「格闘ゲームを作る」という贅沢な体験を極限まで突き詰められる一作に仕上げられています。

『3D格闘ツクール2』は、エンターブレイン(旧アスキー)が展開する、プログラム不要でゲーム制作が楽しめる「ツクール」シリーズの一つです。3D格闘という高度なジャンルに特化しながらも、直感的な操作で本格的な対戦環境を構築できるツールとして、多くの自作ファンを魅了しました。

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