『コロボール2002』は、サッカーボール型の球体盤面上でクリーチャーを操り、エネルギーを奪い合いながら勝利を目指す対戦型戦略ボードゲームです。2002年6月27日にエンターブレインからPlayStation 2で発売され、架空の競技「コロシアムボール」を題材とした独特な設定と、練り込まれたゲームシステムでカルト的な人気を博しました。
ゲームの舞台となるのは、五角形と六角形のタイルで構成されたサッカーボール状のフィールドです。プレイヤーは500種類以上のユニットから20体を選んでデッキを構築し、ターンごとに蓄積される「エネルギー」を消費してユニットを盤面に召喚します。盤面上のタイルの色によって得られるエネルギーの種類が異なり、どの位置を占拠してリソースを確保するかが勝敗を分ける極めて戦術的な立ち回りが求められます。
ユニット同士が同じマスで接触すると、ルーレット形式のバトルに発展します。各ユニットには攻撃力や防御力のほか、ルーレットの「当たり」の範囲が設定されており、能力値の高さだけでなくプレイヤーの目押しや運も勝敗に介在するスリリングな設計となっています。強いユニットを倒すほど高い得点を得られる仕組みのため、格上の相手をいかに包囲して撃破するかという、ボードゲーム特有の布陣の妙が楽しめます。
世界観の構築には、名作『moon』や『チュウリップ』を手掛けたスタッフが深く関わっており、登場するクリーチャーのデザインやテキストは非常にシュールかつ独創的です。一つ一つのユニットに用意された詳細な説明文は、皮肉やユーモアに溢れており、単なる戦闘の道具としてではなく、奇妙な生命体としての魅力を放っています。架空の団体「WCA(世界コロシアムボール協会)」による公認競技という徹底したパロディ設定も、本作の不思議な没入感を高めています。
対戦モードのほか、1人でじっくり遊べるシングルモードや、初心者向けの丁寧なチュートリアルも完備されています。トレーディングカードゲームのような収集・編成の楽しさと、球体という特殊な地形による位置取りの難しさが融合しており、一見コミカルな見た目に反して、やり込むほどに深い読み合いが発生する硬派なシミュレーション作品に仕上げられています。
『コロボール2002』は、エンターブレインとバンプールが共同で制作した完全オリジナルのボードゲームです。「イギリス発祥の伝統競技」という架空の歴史設定を持ち、当時のトレーディングカードゲームブームとボードゲームの戦略性を融合させた意欲作として誕生しました。












コメントを追加