『Missing Blue(ミッシングブルー)』は、平穏な学園生活に突如として「非日常」が侵食していく、サスペンスとファンタジーが融合したデジタルノベル。2001年07月26日にトンキンハウスからPlayStation 2で発売されました。本作は、同社の名作『Lの季節』の流れを汲む作品であり、キャラクターデザインに渡辺明夫氏(現・ぽよよんろっく)、主題歌に小松未歩氏を起用した豪華な布陣で制作されました。主人公の牧村功司は、幼馴染や恋人と共に幸せな日々を送っていましたが、謎の転校生から「水晶」を渡され、「思い出して」と告げられたことをきっかけに、周囲で不可解な事件が頻発し始めます。失われた記憶と世界の真実を求め、プレイヤーは現実と幻想の狭間を彷徨うことになります。
ゲームプレイは、テキストを読み進めながら選択肢を選んでいくオーソドックスなアドベンチャー形式ですが、本作独自の「IPS(イメージ・プロジェクティブ・システム)」が物語の行方を大きく左右します。これは、会話中に特定のタイミングでボタンを押し、主人公の感情や意思を相手に「投影」するシステムです。単なる言葉の選択ではなく、心象を伝えるこのアクションによって、物語は現実的な学園ミステリーから、妖精や魔物が跋扈するファンタジー世界へと劇的に分岐していきます。また、複雑に枝分かれするシナリオ構造を視覚的に把握できる「3Dマップ」機能を搭載しており、プレイヤーは迷宮のような物語の全体像を確認しながら、未読のルートを探索することができます。
本作の特徴は、渡辺明夫氏による可愛らしいキャラクタービジュアルとは裏腹に、プレイヤーの選択次第で世界観そのものが変貌してしまう壮大なシナリオ構成です。「現実編」と「幻想編」では登場人物の役割や結末が全く異なり、すべての謎を解き明かすためには双方の世界を行き来して情報を補完する必要があります。膨大なテキスト量とエンディング数を誇り、一度のプレイでは決して見えてこない「青い真実」に辿り着くためには、幾多の可能性を検証する根気と推理力が求められる大作アドベンチャーとなっています。
キャラクターデザインを担当した渡辺明夫氏は、アニメ『化物語』シリーズなどのキャラクターデザインでも知られる人気クリエイターです。本作で見られる、ポップでありながらどこか影を感じさせる独特の色彩感覚とキャラクター造形は、氏の作家性が強く表れています。その魅力的なビジュアルワークをもっと堪能したい方は、氏の画集や関連アニメ作品の資料集を手に取ることで、その繊細な線の魔力に触れることができます。













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