『シャドウハーツ』は、第一次世界大戦前夜の中国大陸とヨーロッパを舞台に、歴史の裏側で繰り広げられる闇の戦いを描いたダークファンタジーRPG。2001年06月28日にアルゼからプレイステーション2で発売されました。物語は1913年、不思議な「声」に導かれる青年ウルが、満州へ向かう蒸気機関車の中で、とある事件に巻き込まれた少女アリスを救うところから始まります。実在の歴史上の人物やオカルト的な事象が絡み合う「もうひとつの歴史」の中で、呪われた運命を背負う主人公とヒロインの切なくも壮絶な旅路が描かれます。

ゲームプレイの中核を担うのは、回転するバーをタイミングよく止めることで行動の成否を決定する「ジャッジメントリング」システムです。攻撃、魔法、アイテム使用といったあらゆる行動において、時計盤のようなリング上に設けられた「ヒットエリア」内でバーを止める必要があり、プレイヤーの動体視力とリズム感が戦闘の結果を左右します。また、主人公ウルは倒した魔物の魂と融合して強力な姿に変身する「フュージョン」能力を持っていますが、強力な力の代償として精神力を示す「SP(サニティポイント)」を消費し続け、ゼロになると「暴走」して操作不能になるというリスク管理が求められます。

本作の特徴は、前作にあたる『クーデルカ』から受け継いだゴシックホラーの雰囲気と、シリアスな物語の中に突如として差し込まれる独特のブラックユーモアです。H.P.ラヴクラフトの小説や悪魔学をモチーフにしたおぞましくも魅力的なモンスターデザインに加え、単純な勧善懲悪では語れない重厚なシナリオが高い評価を得ました。プレイヤーの選択や行動によって結末が分岐するマルチエンディング方式を採用しており、その切ない結末は多くのファンの心に深い爪痕を残しました。

本作の開発は、スクウェア(現・スクウェア・エニックス)出身のクリエイターたちが設立したサクノスが手掛けました。実在の怪奇小説家H.P.ラヴクラフトが構築した「クトゥルフ神話」の要素が色濃く反映されており、作中に登場する古文書や神々の名称にはその影響が見て取れます。元ネタとなった宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)の世界観に興味を持った方は、原点であるラヴクラフトの小説を読むことで、本作の深淵をより深く覗き込むことができます。

ラヴクラフト全集 (創元推理文庫)

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