『勝負師伝説 哲也』は、戦後の混乱期にある新宿を舞台に、伝説の玄人(バイニン)たちが生き残りを懸けた命懸けの麻雀勝負を繰り広げる麻雀アクションです。2001年6月21日にアテナからPlayStation 2で発売され、週刊少年マガジン連載の人気漫画およびテレビアニメの世界観を忠実に再現した作品として、多くのファンから高い支持を得ました。

物語は昭和21年の新宿から始まります。復興途中の荒廃した日本で、後に「雀聖」と呼ばれることになる主人公・哲也(坊や哲)が、師匠である房州をはじめとする凄腕の玄人たちと出会い、数々の死闘を通じて勝負師として成長していく姿が描かれます。ゲームはアニメ版のストーリーを追体験する「シナリオモード」を軸に進行し、原作の持つ重厚で退廃的な雰囲気が色濃く反映されています。

本作の最大の特徴は、玄人ならではのイカサマをシステム化した「玄人技」です。プレイヤーは対局に勝利して得られる技ポイントを消費し、「積み込み」「すり替え」「燕返し」といった多彩な技を習得・強化できます。これらの技は「積み込み系」「牌操作系」「コンビ技系」に分類され、状況に応じて適切な技を選択することが勝利の鍵となります。ただし、技の使用は必ずしも成功するわけではなく、敵の警戒度や場の状況によって成否が左右されるスリリングな設計となっています。

対局を有利に進めるための新機軸として「ラックコントロールシステム」も搭載されています。これはプレイヤーの打牌や和了りといった駆け引きの内容に応じて「運の流れ」がリアルタイムに変化するシステムです。好プレイを続けることで運を上昇させ、劇的な逆転劇を演出できる一方、不用意な一打が運気の停滞を招くこともあり、麻雀特有の「流れ」がゲーム性に組み込まれています。

演出面では、PlayStation 2の描写能力を活かした3Dモデルが採用されました。竹製の牌や木製の雀卓の質感が精細に表現され、戦後の雀荘が持つ独特の空気感を再現しています。さらに、アニメ版と同じ豪華声優陣によるフルボイス演出や、技の発動時や和了時の迫力あるカットインアニメーションが対局の緊張感を極限まで高め、原作さながらの熱い勝負を体感させてくれます。

『勝負師伝説 哲也』は、阿佐田哲也氏の小説『麻雀放浪記』を原案とし、さいふうめい氏(原案)と星野泰視氏(漫画)による漫画『哲也-雀聖と呼ばれた男』を原作としています。戦後の荒廃した日本で、麻雀を通じて生きる人々の情熱と哀愁を描き、多くの読者を魅了した傑作コミックです。

哲也-雀聖と呼ばれた男