『世界最強銀星囲碁』シリーズは、世界コンピュータ囲碁大会で数多くの優勝実績を持つ思考エンジンを搭載した本格囲碁シミュレーション。2001年11月29日にアイマジックからPlayStationで第1作が発売され、2002年11月28日に『2』、2003年11月13日に『3』と、同ハードにおいて短期間で着実な進化を遂げました。

本シリーズの核心は、北朝鮮の朝鮮コンピューターセンター(KCC)が開発した思考エンジン「KCC囲碁」にあります。当時の家庭用ゲーム機向けソフトとしては驚異的な棋力を誇り、2002年には日本棋院からコンピュータソフトとして史上初となる「初段」の免状を授与されるなど、その実力はプロ棋士や囲碁界からも高く評価されました。PlayStationの限界に挑む緻密な演算処理により、有段者層をも唸らせる本格的な対局環境を構築しています。

対局機能だけでなく、学習支援機能が非常に充実している点も特徴です。3,000問以上の膨大な詰碁・手筋問題を収録した「囲碁講座」モードや、コンピュータが次に打つべき推奨手を提示するヒント機能、盤上の勢力圏を可視化する地合判定機能などを搭載。初心者から上級者まで、自身のレベルに合わせてステップアップできる教育的な側面を重視した設計がなされています。

PlayStation版の末期に発売された『3』では、思考ルーチンのさらなる高速化と精度の向上が図られました。6路盤、9路盤、13路盤、19路盤の選択から、手合割やコミの設定まで、プレイヤーの習熟度に応じた柔軟なカスタマイズが可能です。自身の打った棋譜を保存して振り返る再生機能も完備されており、当時の囲碁ファンにとっての「デジタルな棋譜帳」兼「最強の練習相手」としての地位を確立しました。

『世界最強銀星囲碁』は、シルバースタージャパンが開発する「銀星」シリーズの源流にあたる作品です。世界トップクラスのアルゴリズムを家庭で手軽に体験できるソフトとして構築され、現在も最新ハードで続く長寿シリーズの礎となりました。

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