『音楽ツクール3』は、楽譜の知識がなくても直感的な操作で自分だけの楽曲を制作できる音楽作成シミュレーションです。2001年3月8日にエンターブレインからPlayStationで発売され、前作『音楽ツクール かなでーる2』から3年の歳月を経て、より高度な編集機能を備えたツールへと進化を遂げました。

本作の最大の特徴は、従来の「スコア入力(五線譜入力)」に加え、PCの音楽制作ソフトに近い「ピアノロール入力」が新たに採用された点にあります。これにより、音の長さや高さを視覚的に捉えながら、より直感的にメロディを打ち込むことが可能になりました。全16パート構成、最大同時発音数12音というスペックを誇り、オーケストラやロック、テクノなどジャンル別に用意された300種類以上の多彩な音色を組み合わせて、深みのあるサウンドを構築できます。

上級者向けの機能も充実しており、「イベントリスト」を使用すれば、音量やピッチの微調整、エフェクトの付与など、細部までこだわり抜いた楽曲編集が行えます。さらに、コード進行を自動で検索する機能や、バリエーション豊かな自動作曲アシスト機能も搭載されているため、作曲に不慣れな初心者でも数分で一曲を作り上げることができるよう配慮されています。

制作した楽曲データは、同社から発売された『RPGツクール4』のBGMとしてコンバートして使用できる点が大きな魅力です。自作ゲームの世界観に合わせたオリジナルの音楽を自分で用意できるこの連携システムは、当時のクリエイター志向のユーザーから高く支持されました。PlayStationの限界に挑んだ多機能な作曲環境を提供し、家庭にいながらDTM(デスクトップミュージック)の入り口を体験できる一作となっています。

『音楽ツクール3』は、アスキー(現・KADOKAWA/Gotcha Gotcha Games)が展開してきた、ゲームや音楽を自作する楽しみを提供する「ツクール」シリーズの一つです。専門的な知識がなくてもクリエイティブな活動ができるツールとして、長年多くのファンに親しまれています。

ツクールシリーズ