『バロック 歪んだ妄想』(BAROQUE 歪んだ妄想)は、プレイステーション用ソフトとして発売されたアクションRPG。セガサターン用に発売された「バロック」からいくつかの変更が加えられている。PS版では、アイテム管理方法を一新する「物の者」の登場や新たな高難易度「地獄ダンジョン」および各種リスト機能(シーン・アイテム・ムービー)の追加、プレイヤーの向き表示といったUI改善に加え、ダンジョン構造やイベント配置なども再調整されました。

プレイヤーは記憶を失った主人公となり、「神経塔」と呼ばれる謎のダンジョンを探索します。本作は、死んでも物語が進行し、ゲームオーバーにならない点が最大の特徴。塔の内部は廃工場を思わせ、回復アイテムが「心臓」や「肉」であるなど、暗く不気味な雰囲気が全体を覆っています。

ゲームの目的と流れ

主人公の目的は、プレイごとに構造が自動生成される「神経塔」の最下層に到達することです。一度塔に入ると、階層を戻ることはできず、最下層に辿り着くか、あるいは「死ぬ」まで脱出できません。

特徴的なシステム

リアルタイムアクションと索敵
3D視点で展開するリアルタイムの戦闘が特徴です。画面は暗く視界も狭いため、物音を頼りに敵の接近を察知する緊張感のある探索が求められます。

HPとVT(バイタリティ)
体力(HP)とは別に「VT(活力)」という数値が存在します。HPは時間経過で自動回復しますが、その代償としてVTが減少します。VTが尽きると今度はHPが減少し始め、最終的には死に至ります。そのため、敵を倒したり特定のアイテムを使ったりしてVTを維持することが生存の鍵となります。

「死」と物語の進行
主人公が死亡すると、所持品やレベルは初期化され、外界から塔の探索を再開します。しかし、これは単なるリセットではなく、ゲーム内の時間は流れ続け、登場人物や状況も少しずつ変化していきます。繰り返される死すらも物語の一部として組み込まれており、プレイヤーは徐々に世界の謎と自身の過去を解き明かしていくことになります。

その他のシステム
アイテムの引き継ぎ: 死亡時に全てを失うわけではなく、探索中に「感覚球」というアイテムで転送した装備品などは、次回のプレイで再入手可能です(PS版以降は「物の者」というキャラクターが管理)。

セーブ
ゲームの中断セーブは、フロアを移動したタイミングでのみ行えます。正規の手順を踏まずにゲームを終了すると、死亡時と同様のペナルティが発生します。

物語の結末とその後

「上級天使」と名乗る存在に導かれ、主人公は歪んだ世界の謎と自身の記憶を取り戻すための探索を続けます。最終的なイベントをクリアしエンディングを迎えた後も、神経塔の探索を続けることが可能です。

PS版の主な変更点

新キャラクター「物の者」の登場
アイテム管理が大幅に変わり、戦略性が向上しました。

最下層の判明方法追加
「判明骨」というアイテムで、探索中のダンジョンの最下層が分かるようになりました。

上級天使フロアの安全性向上
上級天使がいるフロアでは敵が出現しなくなりました。

ダンジョン構造・イベント等の再配置
神経塔内の敵やキャラクターの出現階層、イベント内容、最下層の深さなどが調整されました。

UI改善
マップでプレイヤーの向きが表示されるようになりました。

クリア後要素の追加
新たな高難易度ダンジョン「地獄ダンジョン」が追加されました。

コレクション機能の追加
一度見たシーン、入手したアイテム(「物の者」に預けたもの)、再生したムービーを閲覧できるリスト機能がオプションに追加されました。これらにはコンプリート特典も用意されています。

細部の変更
外界の回復ポイントの位置や、一部キャラクターのセリフなどが微調整されました。