『リアルロボット戦線』は、1999年8月12日にPlayStation用ソフトとしてバンプレストより発売されたシミュレーションRPGであり、サンライズ製作のリアル系ロボットアニメ作品を中心に構成されたクロスオーバー作品です。本作は『スーパーロボット大戦』シリーズと同様のゲームシステムを採用しつつも、独自の世界観とオリジナルキャラクターによる重厚な群像劇を展開する、いわば“リアル系スパロボの外伝”的な立ち位置にある作品です。
舞台は異世界「惑星ウルス」。この世界では、異世界の人物や兵器を召喚・複製する古代文明の遺産「デュプリケーター」が発見されており、これにより『機動戦士ガンダム』や『聖戦士ダンバイン』などのキャラクターたちが“ブランチ”として召喚され、ウルスの戦争に巻き込まれていきます。主人公はノーザンブライト共和国の新兵「ムジカ・ファーエデン」。彼女は偶然にもシャア・アズナブルらを召喚してしまい、やがてブランチとウルス人の共存を巡る戦乱の渦中で、指揮官として成長していくことになります。
ゲームシステムは、スパロボシリーズと同様のターン制マップバトルを採用しつつ、ユニットの向き(前面・側面・背面)によるダメージ補正や、リアル等身の3Dグラフィックによる戦闘演出など、独自の要素も多数導入されています。また、ルート分岐が非常に多彩で、些細な選択や行動によってシナリオが大きく変化し、全貌を把握するには複数回のプレイが必要となる構成です。
参戦作品は『機動戦士ガンダム』『Ζガンダム』『ΖΖ』『逆襲のシャア(小説版)』『0083』『ダンバイン』『エルガイム』『ザブングル』など、富野由悠季監督作品を中心に構成されており、スーパーロボット系は一切登場しない“リアルロボット限定”の構成となっています。さらに、隠しキャラクターとして『スーパーロボット大戦』シリーズのリュウセイ・ダテとR-1も登場します。
本作は、オリジナルキャラクターの完成度が高く、特に主人公ムジカの人気は根強く、後年OGシリーズへの参戦を望む声も多く聞かれました。ロード時間や演出面での粗さはあるものの、重厚なストーリーと分岐の多さ、そしてリアルロボットへのこだわりが光る、隠れた意欲作として今なお語り継がれています。
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