『レストランドリーム』は、熾烈な外食産業のシェア争いを、ボードゲームのようなコマ配置システムと独特なキャラクターデザインで描くファミリーレストラン経営シミュレーション。1999年7月1日にテイチクからPlayStationで発売され、演歌や歌謡曲で知られるレコード会社がゲーム市場に残した、一風変わった経営ストラテジーとして展開されました。

本作のプレイヤーは、ファミレスチェーンのエリア長となり、「ピーチジェム」や「ワイルド・イート」といった特色の異なる4つのブランドから一つを選んで経営を行います。目的は、担当エリア内におけるシェアNo.1の獲得です。ゲームシステムは非常にシンプルで、店舗マップ上に「ウェイトレス」や「シェフ」といった従業員コマや、「スペシャルメニュー」などのアイテムコマを配置して営業を開始するだけ。しかし、各コマには「女子高生向き」「お年寄り向き」といった客層への相性が設定されており、エリアごとの住民層に合致した人員配置を行わなければ客足は伸びません。

特徴的なのは、ライバル店との直接的な妨害合戦です。他店から優秀なスタッフを引き抜いたり、あえて相性の悪い客層を呼び込んで評判を落としたりと、綺麗事だけでは済まないビジネスの裏側がシミュレートされています。また、特定のコマを組み合わせることで発動する「コンボ」システムがあり、売上を爆発的に伸ばすことができますが、代償として従業員の疲労度が激増するというリスク管理も求められます。

経営シミュレーションでありながら、いわゆる「ギャルゲー」的な要素も含まれており、個性豊かな女性店員たちとの親密度を上げるイベントが存在します。しかし、キャラクターデザインが当時の萌え絵とは一線を画す独特の濃さ(劇画調に近いタッチ)であったり、イベント内容があっさりしていたりと、全体的に漂うB級感が本作の味わいとなっています。オープニングとエンディング曲を人気声優の折笠愛が担当しており、無駄に(失礼!)豪華なボーカル曲が流れる点も、テイチク作品らしい音楽へのこだわりを感じさせます。

『レストランドリーム』はオリジナルのシミュレーションゲームです。ファミレスという身近な題材を扱っていますが、本作が発売された90年代後半は「ロイヤルホスト」や「デニーズ」「ガスト」などが激しく競合し、ドリンクバーの普及などサービスが多様化していた時期でした。本作はそんな外食産業の過渡期を、少しシニカルな視点で切り取った作品といえます。

レストランドリーム