『ジェイルブレイカー』は、重機甲で武装した看守が徘徊する巨大なハイテク監獄を舞台に、一人の女盗賊が自由を求めて彷徨う3Dアドベンチャー。1999年6月3日にNECインターチャネルからPlayStationで発売され、一人称視点による臨場感溢れる探索と、見つかれば即死という極限の緊張感が融合した隠密アクションとして注目を集めました。
物語の舞台は、徹底した管理社会が敷かれた近未来の巨大監獄「ダイナモ」。主人公は、ある夜の盗み出しに失敗し、この絶望的な要塞へと投獄された赤髪の女盗賊・シュラです。彼女は同じ囚人たちとの接触を通じて、監獄の裏側に隠された恐ろしい陰謀を知ることになります。プレイヤーはシュラを操作し、最新のセキュリティに守られた監獄から脱出するための唯一の希望を自らの手で切り拓くことになります。
ゲームプレイの核心は、無敵の殺人マシーンと化した看守の目を掻い潜る「ステルス(隠密)」要素にあります。シュラは直接的な戦闘手段をほとんど持たず、看守に発見されることは即座に死を意味するため、常に周囲を警戒しながら進む必要があります。画面上に表示されるレーダーや周囲の物音を頼りに、看守の巡回ルートを予測し、死角を縫って慎重に移動するプレイスタイルが求められます。
探索を支えるシステムとして、一人称視点での自由な視点操作が採用されており、通風孔や暗い通路の先を確認するといった探索の醍醐味が味わえます。監獄内には脱出のヒントとなる情報やアイテムが至る所に隠されており、他の囚人との会話から有益な情報を引き出すアドベンチャーパートも重要な役割を果たします。単なるアクションだけではなく、状況を読み解くパズル的な思考力も脱獄への鍵となります。
グラフィック面では、PlayStationの性能を活かしたフルポリゴンの3D空間が、監獄特有の冷徹で閉塞感のある雰囲気を演出します。方向キーによる直感的な操作体系は、アクションが苦手な層でも楽しめるよう配慮されており、誰でも脱出劇のスリルを存分に味わえる設計となっています。孤独な戦いの果てにシュラが目にする真実と、自由への渇望が濃密に描かれた一作に仕上げられています。
『ジェイルブレイカー』は、NECインターチャネル(現・インターチャネル)がPlayStation向けに制作したオリジナルタイトルです。近未来のディストピア的な世界観の中で、徹底したステルスアクションと物語性を融合させ、独自の没入感を生み出した脱出ゲームの先駆け的な一作です。












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