『水族館プロジェクト 〜フィッシュハンターへの道〜』は、世界最大級の水族館「海遊館」の全面監修のもと、究極のリアリティと過酷なまでのストイックさを追求した水族館経営&釣りシミュレーション。1999年3月11日にテイチクからPlayStationで発売され、華やかな水族館オープンの裏側にある、飼育魚確保の血の滲むような労力をプレイヤーに叩き込んだ一本です。

本作の主人公は、伝説の釣り師を父に持つ駆け出しの「フィッシュハンター」。オープンを控えた水族館「アクアコロム」の館長から依頼を受け、展示用の魚を調達するために世界中の漁場へと赴きます。釣りシステムは非常に本格的で、ルアーや餌の選定はもちろん、水深(タナ)やポイントをミリ単位で調整しなければ魚の姿すら拝めません。船、ヘリコプター、潜水艇といった移動手段を駆使し、身近な川魚から深海の神秘リュウグウノツカイまで、100種類以上の魚たちとの孤独な戦いが繰り広げられます。

特筆すべきは、海遊館監修による魚のグラフィックと生態データの美しさですが、それ以上にプレイヤーを驚愕させたのはゲームバランスの厳しさです。序盤から「イワシを100匹釣れ」といった気の遠くなるようなノルマが課され、魚影の見えない海に向かって延々と糸を垂らし続ける忍耐力が試されます。アスキーの「つりコン」に対応していますが、専用コントローラーを使ってもなお高難易度であり、魚との格闘よりも「ヒットするまでの待ち時間」との精神的な戦いがメインとなることも珍しくありません。

PocketStation(ポケットステーション)にも対応しており、可愛らしい魚「コンペイトウ」を育成して友人とのデータ交換を楽しむことも可能です。アドベンチャーパートで描かれるキャラクターたちのドラマや、苦労して充実させた水族館を眺める喜びは確かに存在しますが、そこに至るまでの道のりはまさに「フィッシュハンターへの道」というサブタイトルに偽りのない、険しく長い修羅の道となっています。

『水族館プロジェクト』自体に原作はありませんが、監修を務めた「海遊館」は大阪・天保山にある実在の水族館です。巨大なジンベエザメが泳ぐ「太平洋」水槽などで世界的に知られ、本作で描かれた魚たちのリアルな姿を実際に観察することができます。

海遊館 ガイドブック