『Piとメール』は、ポケットステーション専用の赤外線通信メッセージツールで、PlayStation本体では直接プレイできない“非ゲーム型”のコミュニケーションソフトです。

本作は、ポケットステーションにインストールして使用する形式で、定型文メッセージ(男の子用・女の子用それぞれ91種)を選択して送受信します。通信は赤外線方式で、送信には相手のポケステが近距離かつ正確な向きで起動している必要があり、実用性には大きな制限があります。送信者の識別は4桁の個体番号で行う仕様で、名前表示などは非対応。メッセージのやり取りには、事前に相手へ起動を促す必要があるなど、現代の感覚ではかなり不便な設計です。

1999年当時は携帯メールが普及し始めた時期で、ポケベル文化が残る中での試みでしたが、実用性よりも“電子玩具的な面白さ”が強調された内容でした。定型文のみの構成は、ポケステの画面サイズや操作性を考慮すれば合理的とも言えますが、コミュニケーションツールとしての完成度は低く、現在ではレトロガジェット的な価値が中心です。