『アフレイド・ギア』は、鋼鉄の巨人「メック(M.E.C.)」を駆り、パイロットの腕ではなくエンジニアの頭脳で勝負を決する、自律稼働型ロボット対戦シミュレーション。1998年10月29日にアスミック・エース エンタテインメントからPlayStationで発売され、『アーマード・コア』のような重厚なメカカスタマイズを極限まで掘り下げつつ、戦闘操作をほぼ自動化するという大胆なシステムを採用した、マニアックかつストイックな一作として展開されました。

本作の舞台は2082年、人型兵器メックによる戦闘競技がエンターテインメントとして確立された世界です。プレイヤーは自身の機体を設計し、大会に出場して賞金を稼ぎ、さらに強力なパーツを購入して最強の座を目指します。最大の特徴は、戦闘中にプレイヤーが直接機体を操縦しないことです。戦闘は基本的にオート(または簡単な指示出しのみ)で進行するため、勝敗の行方は出撃前の「機体構成」で9割が決まります。ボディ、アーム、レッグといった外装だけでなく、ジェネレーターの出力バランスや各パーツの相性、重量配分といった内部数値を緻密に計算しなければ、機体はまともに動くことすらままなりません。

一見すると地味なゲーム画面ですが、自分が組み上げたロジックと機体が強敵を撃破した瞬間の喜びは、アクションゲームとは異なる種類の深いカタルシスをもたらします。オフィスクリエイト(後に『クッキングママ』等で知られる)が開発を手掛けており、無骨で飾り気のないポリゴンモデルや、硬派なSEが醸し出す「兵器としてのリアリティ」は、メカ好きの琴線に触れる完成度です。アクション操作が苦手でも、最強のロボットを作りたいという夢を叶えられる、電子のガレージに引きこもるためのソフトといえるでしょう。

『アフレイド・ギア』はオリジナル作品ですが、ロボットをカスタマイズして戦わせるというコンセプトは、プラモデルの「ミキシングビルド(複数のキットを組み合わせて改造すること)」の楽しさをデジタル化したものといえます。バンダイの「30 MINUTES MISSIONS」シリーズなどは、本作のような手軽かつ奥深い組み換え遊びを現代に体現しています。

30 MINUTES MISSIONS