『オーバードライビンIII』は、1998年9月23日にエレクトロニック・アーツ・ビクターから発売されたPlayStation対応のレーシングゲーム。世界的な人気シリーズ『ニード・フォー・スピード』の第3作目にあたり、スーパーカーによる公道レースに「警察とのカーチェイス」という要素を本格的に導入し、シリーズの方向性を決定づけた記念碑的な作品となっています。

本作のメインとなるのは、タイトル(原題:Hot Pursuit)が示す通り、違法レーサーと警察車両による激しい追跡劇です。プレイヤーはフェラーリ・550マラネロやランボルギーニ・ディアブロSVといった憧れのスーパーカーを駆り、美しい風景の中を疾走しながら、執拗に追ってくるパトカーを振り切ってゴールを目指します。警察側はサイレンを鳴らして幅寄せしてくるだけでなく、ロードブロック(バリケード)やスパイクベルトを設置して物理的に阻止してくるため、単なる速さだけでなく、回避テクニックやルート選びが重要になります。

さらに、プレイヤー自身が警察官となり、違反車両を追いかけて逮捕するモードも搭載されています。パトカー専用のサイレンや無線ボイス、そして検挙のための体当たりなど、追う側の視点でレースを楽しむことが可能です。グラフィック面でも前作から大幅に進化しており、ボディへの環境マッピング(映り込み)や、夜間のライティング効果が美しく表現されています。

『オーバードライビンIII』は、エレクトロニック・アーツの看板タイトル『Need for Speed』シリーズの第3作『Need for Speed III: Hot Pursuit』の日本ローカライズ版です。本作で確立された「スーパーカーvs警察」という図式はシリーズの代名詞となり、後に同名の『Hot Pursuit』としてリブート作が発売されるなど、シリーズ屈指の人気を誇るコンセプトの原点となりました。

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