『きまぐれマイベイビィ 娘のスゴロク成長記』は、愛娘の成長過程を「スゴロク」という運任せの盤面に委ねる、ハラハラドキドキの育児ボードゲーム。1998年9月10日にアクセラからPlayStationで発売され、サイコロの出目ひとつで娘の人生が激変する、一風変わった育成シミュレーションとして展開されました。

本作は、プレイヤーが父親(または母親)となり、誕生から結婚までの娘の半生を見守るゲームです。最大の特徴は、一般的な育成ゲームのような「コマンド選択」ではなく、スゴロク盤の上を進むことでパラメータが変化するシステムにあります。「知力マス」や「体力マス」に止まれば能力が伸びますが、時には「ハプニングマス」で予想外のトラブルに巻き込まれることも。幼稚園編、小学校編といったステージごとにマップが用意されており、成長に合わせて発生するイベントも変化します。娘はボード上のコマとして表現されるだけでなく、会話デモやイベントシーンでは可愛らしいアニメ調のビジュアルで登場し、親バカ心をくすぐります。

ゲーム中には、パラメータを変動させるための多彩なミニゲームが挿入されます。その内容は、幼稚園児が命がけで挑むような「鉄骨渡り」風のアクションや、反射神経を競うものなど、シュールで独特なセンスが光ります。また、最大4人までの対戦プレイが可能で、友達同士で「誰の娘が一番立派に育つか」を競い合う「親バカ対決」も盛り上がります。久川綾や水谷優子といった豪華声優陣が声を担当しており、娘の成長を彩るボイス演出も本作の魅力の一つです。

育成の最終目標は、娘を憧れの職業に就かせることですが、育て方次第では「プリンセス」のような輝かしい未来から、予想の斜め上を行く結末まで、多種多様なエンディングが待ち受けています。運と愛情が交錯する盤上で、一喜一憂しながら理想の娘を育て上げる、デジタル時代の「人生ゲーム」といえるでしょう。

『きまぐれマイベイビィ』は特定の原作を持たないオリジナル作品です。ボードゲーム形式で人生を体験するという点では『人生ゲーム』に通じますが、本作はそこに「娘への萌え」と「親心」というエッセンスを加え、90年代後半の美少女育成ゲームブームを独自の切り口で解釈しています。

人生ゲーム