『リアルバウト餓狼伝説スペシャル ドミネイテッドマインド』は、1998年6月25日にPlayStation向けに発売された2D対戦格闘ゲームで、アーケード版『リアルバウト餓狼伝説スペシャル』をベースに、独自のアレンジと新要素を加えた家庭用専用タイトルです。シリーズ初の1ラインバトル制を採用し、ライン移動を廃止することで、よりシンプルでスピーディーなバトルが展開される構成となっています。

本作の最大の特徴は、完全新規の主人公「アルフレッド」の登場と、彼を軸に据えたオリジナルストーリーの導入です。これまでの“お祭り的”な構成とは異なり、明確な物語性が与えられたことで、格闘ゲームとしてだけでなく、ドラマ性のある作品としても楽しめる内容に仕上がっています。ラスボスには、精神操作を得意とする謎の武器商人「ホワイト」が登場し、従来のシリーズとは一線を画す異質な存在感を放っています。

ゲームシステム面では、必殺技から超必殺技や潜在能力へとつなげる「ファイナルインパクト」や、相手の攻撃を受け流しながら前進する「クイックアプローチ」など、独自の新要素が多数導入されています。これにより、従来のリアルバウトシリーズとは異なる駆け引きとコンボ構築が求められるようになり、シリーズ経験者にも新鮮なプレイ感覚を提供しています。

また、アニメーションムービーによるオープニングやエンディングが導入されており、映像演出にも力が入っています。これらのムービーはサンライズが制作を担当し、当時としては珍しいデジタルアニメーションによる表現が話題となりました。さらに、キャラクターごとのプロフィールやボイス付きコマンドリスト、BGM鑑賞などが楽しめる「キャラクターインフォメーション」モードも搭載されており、ファン向けのサービス要素も充実しています。

一方で、アーケード版に存在したEXキャラクターは削除・統合されており、ゲームバランスや演出の簡略化など、家庭用向けに最適化された仕様となっています。それでも、独自の世界観と新キャラクター、そして新システムによって、単なる移植にとどまらない“もうひとつのリアルバウト”として高い評価を受けました。