『吉村将棋』は、コンピュータ将棋界の先駆者・吉村信弘氏が開発を手がけた作品です。もともと「永世名人」シリーズとして知られていた一連の将棋ソフトの流れを汲みつつ、タイトルを一新して登場しました。
本作は、思考速度の速さとバランスの取れた対局AIが特徴で、初心者から上級者まで幅広い層に対応しています。特に「次にどう指すべきか」といったヒント機能が搭載されており、将棋の学習にも役立つ設計となっています。
また、歴史的な名局の再現や詰将棋モードなど、対局以外の楽しみ方も用意されており、将棋ファンにとっては資料的価値も高い作品です。グラフィックや演出は控えめながら、実用性と機能性を重視した構成で、当時の将棋ソフトとしては完成度の高い一本とされています。
なお、吉村氏の将棋ソフトは1990年の第1回世界コンピュータ将棋選手権で優勝するなど、黎明期から高い評価を受けており、『吉村将棋』もその技術的蓄積の上に成り立っています。
コメントを追加