『R?MJ』は、1997年にバンダイから発売されたプレイステーション用ホラーアドベンチャーゲームです。タイトルの「R?MJ」は“Revenge Mutation Jack”の略で、復讐と突然変異をテーマにした物語が展開されます。1999年の夏、爆発事故により閉鎖された総合病院を舞台に、主人公・大石ハジメと仲間たちは、致死性ウイルス「ラミア」による感染と、謎の実験によって生まれた怪物たちに立ち向かうことになります。CD-ROM2枚組という構成は、当時としては大容量であり、フルボイス演出やモーションキャプチャーによるリアルなキャラクター表現が話題を呼びました。
プレイヤーは、病院内を探索しながら仲間との会話や選択肢を通じて物語を進めていきます。戦闘要素は排除されており、代わりに緊迫感のある演出と、選択によって分岐するストーリーがプレイヤーの心理に訴えかけます。特に、感染によって変異した仲間たちとの葛藤や、製薬による救済の選択は、単なるホラーを超えた人間ドラマとしての深みを感じさせます。病院の地下に隠された古代遺跡や、MJと呼ばれる特殊なDNAを持つ者の存在など、SF的要素も物語に厚みを加えています。
登場人物はそれぞれに濃密な背景を持ち、看護師のアヤや親友のトモヲ、リョウといった仲間たちとの関係性が物語の軸となります。彼らはウイルスに感染し、怪物化する運命に翻弄されながらも、主人公との絆によって人間性を取り戻そうとします。特に、MJであるハジメの血液が鍵となる展開は、物語の核心に迫る重要な要素です。プレイヤーは、誰を救い、誰を見捨てるかという選択を迫られながら、病院の闇に立ち向かっていきます。
プレイステーション版では、当時の技術を駆使したポリゴン表現と、実写を取り入れた演出が融合し、独特の臨場感を生み出しています。操作はコマンド選択式で、アドベンチャーゲームとしての完成度も高く、ホラー演出と人間ドラマが絶妙に絡み合った作品です。後に小説化もされ、登場人物の内面描写がさらに深められたことで、ファンの間では語り継がれる一作となりました。
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