『GUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTH』は、1996年12月30日にバンダイ・デジタル・エンタテインメントよりPC(Power Mac/Windows 95)およびピピンアットマーク向けに発売され、1997年5月2日にはPlayStation版もバンダイから発売されたアドベンチャーゲームです。開発は米国のPresto Studiosが担当し、ジャンルはインタラクティブムービー形式のポイント&クリック型アドベンチャーに分類されます。

本作はアニメ『機動戦士ガンダム』の第1話から第10話(ガルマ・ザビ戦死)までをベースにしつつ、実写映像とCGを組み合わせた異色の構成が特徴です。登場人物はすべて外国人俳優による実写演技で表現され、声は日本語吹き替えでアニメ版と同じ声優陣が担当しています。一方、モビルスーツなどのメカはCGで描写され、当時としては高品質なビジュアルが話題となりました。

プレイヤーはアムロ・レイに相当する民間人の視点で物語を体験しますが、主人公には名前や台詞がなく、プレイヤーの没入感を重視した構成となっています。ゲームシステムは、流れるムービーの中で瞬時に正しい操作を選択するQTE(クイックタイムイベント)方式で、選択を誤ると即ゲームオーバーになるという非常にシビアな設計です。セーブはパスワード方式で、任意のタイミングでの保存はできません。

ストーリーは原作と大きく異なる展開も多く、たとえばガンダムがガンタンクの下半身を装着して出撃する「ガンダムタンク」形態や、オリジナル兵器「ソア・キャノン」の登場など、独自要素が多数盛り込まれています。また、シャア・アズナブルの実写キャストが原作と大きく異なる風貌であることから、ファンの間では「ケツアゴシャア」などの愛称で語られることもあります。

本作はその独特な演出と高難度のゲーム性から、評価は賛否両論であり、現在では“異色作”あるいは“カルト的作品”として語られることが多いタイトルです。なお、ゲームクリア時には続編を示唆する演出がありますが、続編は制作されていません。