『海腹川背・旬』は、伸縮自在のゴムロープを用いた物理挙動を駆使してゴールを目指すラバーリング・アクション。1997年2月28日にエクシングからPlayStationで発売されました。スーパーファミコン版の前作から描画を3Dポリゴンへと刷新し、空間の奥行きを活かした新たなギミックを導入しています。

先端にルアーの付いたロープを壁や天井へ射出し、その伸縮と反動を利用して空中を移動。振り子運動による跳躍や、ロープを巻き取る垂直登坂、反動を活かした急加速など、重力や慣性を制御する精密な操作を要します。各ステージには複数の出口を配置。到達したドアによって進路が分岐するため、最短ルートの開拓や難所回避など、プレイヤーの技量が進行に直接反映されます。

キャラクターデザインには近藤敏信を起用。背景や敵には巨大化した魚類や食材といった日常的モチーフをシュールな配置で取り入れています。静謐な景観に中原まゆによる叙情的なBGMが重なり、独特の浮遊感を演出。1998年には追加ステージを収録した『セカンドエディション』も発売されました。

『海腹川背・旬』は、近藤敏信による柔らかなキャラクタービジュアルと、物理演算に基づいた硬派なアクション性が並存するシリーズ作品。ドット絵からポリゴンへと移行した本作のアートワークや設定画を網羅した資料集は、シリーズの変遷を知る上で貴重な媒体となっています。

海腹川背 公式ビジュアルコレクション