『RacinGroovy(レーシングルーヴィー)』は、テクノサウンドと独特の浮遊感が交錯する対戦型レーシングゲーム。1997年1月10日にサミー工業からPlayStationで発売されました。
本作は「ここでは強い車しか生き残れない」という硬派なキャッチコピーを掲げつつも、その中身は90年代特有の「グルーヴ感」を重視したユニークな一作です。プレイヤーは性能の異なる8台のマシンから愛車を選び、ジャングル、ハイウェイ、アルペンといった変化に富んだコースを疾走します。登場するマシンは実在のスポーツカーを彷彿とさせるものの、「De.Ka Buster(デカバスター)」や「Ka.E.Ru. the Beat(カエル・ザ・ビート)」といった奇抜なネーミングが与えられており、開発陣の独特なセンスが光ります。
ゲームプレイにおける最大の特徴は、タイトルの通り「グルーヴィー」なBGMと、少し癖のある挙動です。レース中に流れるテクノやハウス調の楽曲はクオリティが高く、無機質なエンジンの唸り音と融合してトランス感を演出します。一方で、コース幅が極端に狭い箇所が多く、マシンの挙動も独特の軽さがあるため、壁に激突せずに走り抜けるには繊細なハンドリング(あるいは慣れ)が要求されます。また、当時の家庭用ゲームとしては先進的な「ワイドテレビ(16:9)」への出力対応や、ナムコのネジコン対応など、システム面での意欲的な試みも見逃せません。通信ケーブルを使用した対戦プレイも可能で、友人と狭いコースで押し合いへし合いする泥仕合は、本作ならではの醍醐味と言えるでしょう。
本作はサミー工業(現:サミー)によるオリジナル作品です。特定の原作はありませんが、90年代後半のゲームセンターやクラブシーンを席巻していた「テクノ/ユーロビート」ブームと、漫画『頭文字D』などに代表される「走り屋」文化の影響を色濃く受けています。当時の空気感をパッケージしたような本作のサウンドやビジュアルは、今となっては貴重な90年代カルチャーの記録とも言えます。
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※本作のような90年代レースゲームの熱気を支えたのは、間違いなくこの時代のダンスミュージックです。ドライブのお供に最適です。













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