『きゅー爆っく』は、自らの肉体を爆弾に変えられた参加者たちが生存を賭けて争うアクションパズル。1996年12月27日にアクティビジョン・ジャパンからPlayStationで発売されました。

「人間爆弾スポーツ」という狂気に満ちたサブタイトルが示す通り、本作の舞台は近未来の過激な殺人ゲームショーです。プレイヤーキャラクターの胸には時限爆弾が埋め込まれており、何もしなければ制限時間ゼロで即座に爆散してしまいます。生き残るためのルールはただ一つ。ステージ内に出現する「クリスタル」を確保し、自分の色の「クラスタ(ゴール)」に放り込むこと。これにより自身の爆発タイマーが延長されます。逆に、他人のクラスタにクリスタルを放り込めば、その相手の持ち時間を強制的に削り取り、爆死へと追いやることが可能です。

ゲームの舞台となる「チェンバー」は正方形の小部屋で、床や壁にはジャンプ台やファンなどのギミックが仕掛けられています。最大の特徴は、壁にある矢印スイッチを蹴ることで**「部屋全体が90度回転する」**というダイナミックな仕掛けです。重力の方向が変化することで、取れなかったクリスタルが落ちてきたり、ライバルを天井付近から叩き落としたりと、物理法則を利用した攻防が展開されます。

一人用の「ソロサバイバー」モードも存在しますが、本作の真骨頂はマルチタップを使用した最大4人での対戦プレイにあります。「あいつの時間を削れ!」「回すな!」といった怒号が飛び交い、友人を蹴落として自分だけが生き残るという背徳的な快感を味わえます。爆発時の悲鳴や飛び散る演出は洋ゲーらしくブラックで、その殺伐とした空気と、平仮名交じりの間の抜けたタイトルのギャップが、カルト的な人気を博しました。原題は『Blast Chamber』であり、海外ではセガサターン版もリリースされた知る人ぞ知る名作です。

本作は、アメリカなどで発売された洋ゲー『Blast Chamber』の完全ローカライズ版です。開発を担当したイギリスの「Attention to Detail (ATD)」は、後にレースゲーム『ロールケージ』などを手掛ける技術力のあるスタジオでした。90年代中期の洋ゲー特有の「暗く、バタ臭く、どこかネジが飛んでいる」雰囲気が濃厚に漂っており、日本のゲームにはない独特の殺伐とした世界観を楽しめます。「テレビ番組として消費される死のゲーム」という設定は、スティーヴン・キング原作の映画『バトルランナー』などのSF作品に通じるテーマを持っています。

映画『バトルランナー』
※「未来のテレビ番組で行われる殺人ゲーム」という設定の元祖的な傑作アクション映画。本作の世界観が好きな方にはたまらない一作です。

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