『NOT TREASURE HUNTER』は、英国紳士が古代の謎に挑む3Dアクションアドベンチャー。1996年12月20日にアクティアートからPlayStationで発売されました。

本作の主人公ジェームズ・アークライトは、単なる宝探しを軽蔑し「私はトレジャーハンターではない」と声高に主張する考古学者です。プレイヤーは彼を操作し、謎の洞窟や遺跡を探索することになりますが、最大の特徴はそのシュールで予測不能な展開にあります。一見シリアスな3Dアドベンチャーに見えますが、イベント中に現れる選択肢によって物語は劇的に、かつ唐突に分岐します。巨大なトカゲに襲われた際に「戦う」だけでなく「仲間に入れてください」と命乞いをしたり、ライバルに対して卑怯な騙し討ちを行ったりと、ジェームズの行動はプレイヤーの良心とセンスに委ねられています。

特筆すべきは、キャラクターボイスに池田秀一氏や塩沢兼人氏といった超豪華声優陣を起用している点です。池田氏の渋く知的な声で「で、出たー!」と叫んだり、真面目なトーンで珍妙な台詞を吐いたりするギャップが、本作を唯一無二のバカゲー(褒め言葉)へと昇華させています。また、パッケージイラストにはファンタジーアートの巨匠・末弥純氏を起用しており、その重厚なジャケットと、実際のゲーム画面内で繰り広げられるローポリゴンの英国紳士キックとの落差も語り草となっています。

ゲームとしての難易度は高く、操作性には独特の癖がありますが、全57種類とも言われるエンディングのコンプリートを目指す熱心なプレイヤーも少なくありません。一周のプレイ時間が短いため、繰り返し遊んで様々な死に様や珍場面を目撃することが、本作の正しい楽しみ方と言えるでしょう。発売から長い年月を経てなお、動画サイトなどで愛され続けるカルト作です。

本作はアクティアートというメーカーが遺したオリジナル作品であり、特定の原作は存在しません。しかし、19世紀から20世紀初頭を舞台にした「秘境探検もの」というジャンル自体へのオマージュやパロディが随所に見られます。特に、主人公のライバル関係や超古代文明へのロマンといった要素は、古典的な冒険小説や映画の定石を踏襲しつつ、それを意図的に(あるいは天然で)崩していくスタイルが採られています。考古学者でありながら格闘術でモンスターをなぎ倒す姿は、まさに冒険活劇のヒーロー像そのものです。

映画『インディ・ジョーンズ』シリーズ
※「考古学者が拳で解決する」というスタイルの元祖にして最高峰。本作のジェームズが目指した(かもしれない)理想の姿がここにあります。

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