『ガボールスクリーン』は、1990年代の日本の音楽シーンを席巻した小室哲哉氏がプロデュースした、音楽とデジタル空間を融合させたマルチメディアソフト。1996年12月6日にアンティノスレコードからPlayStationで発売されました。

本作を一言で表現するなら、「小室哲哉の脳内(あるいはスタジオ)を散歩する環境ソフト」です。プレイヤーが操作するのは、人間ではなく**「命を吹き込まれたスニーカーの片方」**。物語は、小室氏が新型コンピュータ「ガボールスクリーン」で制作していた新曲のデータが、このスニーカーのせいでバラバラになって仮想空間へ散らばってしまうところから始まります。プレイヤーはスニーカーとなって、ジャングルやビーチ、サイバーな幾何学空間など、全32種類の不思議な3Dワールドを探索し、浮遊する「音の欠片(トラック)」を集めて楽曲を復元しなければなりません。

ゲーム性は極めて希薄で、敵もいなければゲームオーバーもありません。ひたすらシュールな空間を彷徨い、オブジェクトに触れて反応を楽しみ、音を集めるだけの「デジタルな散策」が続きます。しかし、トラックを集めると見られるミュージックビデオには、宇都宮隆氏や木根尚登氏といったTM NETWORKのメンバーに加え、当時歌手としてデビューしたばかりの**仲間由紀恵**氏が参加しているなど、資料的価値は計り知れません。全盛期のTKサウンドと、90年代特有の「マルチメディア」という言葉が持つ、少し背伸びをしたような近未来感が凝縮された、時代を象徴するファンアイテムです。

本作のタイトル「ガボールスクリーン(Gaball Screen)」は、元々TM NETWORKのアルバム『CAROL 〜A DAY IN A GIRL’S LIFE 1991〜』のストーリー内に登場する架空のバンド名やキーワードに由来しています。本作は小室氏の「音楽を聴くだけでなく、映像や空間として体験させる」というコンセプト具現化の一環であり、後に彼が結成するユニット「GABALL」への布石とも取れる、ファンにとっては点と線が繋がるような作品です。

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※90年代を彩ったTKサウンドの数々。本作に流れる空気感と共通する、きらびやかで少し切ない時代の音を確認できます。

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