『太閤立志伝II』は、1995年に光栄(現・コーエーテクモゲームス)からPC-9801向けに発売され、翌年にはPlayStationやセガサターンにも移植された歴史シミュレーションゲームです。豊臣秀吉の出世物語を軸にしながらも、プレイヤーの選択次第でまったく異なる歴史を描ける“リコエイションゲーム”として、シリーズの中でも特に自由度の高さが際立つ作品となっています。
本作では、前作『太閤立志伝』で採用されていた「国単位」のマップから、「城単位」へと戦略のスケールが細分化され、より緻密な勢力拡大が求められるようになりました。舞台も関東から中国地方にとどまらず、東北・四国・九州まで全国規模に拡大され、伊達家や島津家といった地方大名にも仕官できるようになったことで、プレイスタイルの幅が大きく広がっています。
プレイヤーは秀吉だけでなく、柴田勝家や明智光秀、さらには完全オリジナルの新武将としてもプレイ可能。浪人として各地を放浪し、修行や辻斬り、商売などを通じて力を蓄え、好きな大名に仕官するという“成り上がり”のロールプレイも楽しめます。技能や能力値は修行によって成長し、剣術や弁舌、築城、軍学など多彩なスキルが戦略やイベントに影響を与えます。
戦闘は野戦と攻城戦に分かれ、戦術モードと戦闘モードを切り替えながら部隊を指揮する本格的なシステムを採用。個人戦では目押しによる攻撃や、技能に応じた特殊技(挑発・目つぶし・威圧など)も使用可能で、戦略とアクションの両面から楽しめる構成になっています。
また、家臣の中から1人を「同行者」として連れて歩くことができ、修行の補助や戦闘の肩代わりなど、プレイの幅を広げる要素として機能します。新田開発時に15パズルを解くなど、主命に応じたミニゲームも導入され、単調になりがちな内政パートにもアクセントが加えられています。
音楽は岩崎琢が担当し、戦国の緊張感と人間ドラマを彩る重厚なBGMが印象的です。PlayStation版では一部グラフィックがポリゴン化され、戦闘演出にも立体感が加わっています。
シリーズの中でも“自由度と成長要素のバランス”が絶妙な本作は、プレイヤーの想像力次第で何度でも異なる物語を紡げる、まさに“戦国時代を生きる”体験ができる一本です。
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