『3×3EYES 〜吸精公主〜』は、1995年に日本クリエイトからPlayStation向けに発売されたアドベンチャーゲームで、高田裕三による人気漫画『3×3EYES(サザンアイズ)』を原作とした三部作のうちの第2作にあたります。原作の世界観をベースにしつつも、ゲームオリジナルのシナリオが展開され、ファン向けの濃密な内容に仕上がっています。

物語は、インチキオカルト雑誌「妖撃」を発行する香港の編集部「妖撃社」を舞台に、主人公・藤井八雲と三只眼の少女・パイが、四川省と台湾で起こる2つの怪事件に挑むという構成です。プレイヤーは「四川省編」と「台湾編」のどちらを先に選ぶかによって物語の順序が変化し、それぞれのルートで異なる展開や演出が楽しめます。ゲームオーバーの概念はなく、コマンド選択式で物語を進めていくスタイルのため、原作の雰囲気をじっくり味わいながらプレイできるのが魅力です。

グラフィックは原作に忠実なセル塗り調で描かれ、アニメーションやフルボイス演出もふんだんに盛り込まれています。キャストはOVA版に準じており、辻谷耕史(八雲)や林原めぐみ(パイ)といった豪華声優陣が物語を彩ります。特に、パイの二重人格や妖怪との戦闘シーンなど、原作の重要な要素が丁寧に再現されており、ファンにはたまらない演出が随所に散りばめられています。

また、プレイヤーの選択によって発生する隠しイベントや、戦闘中のアニメーション変化など、細かな分岐や演出の違いも本作の楽しみのひとつです。後にセガサターン向けにグラフィックや演出を強化した“完全版”もリリースされており、そちらではさらに洗練されたビジュアルが楽しめます。