『君に届け 〜伝えるキモチ〜』は、2011年4月7日にニンテンドーDSで発売されたピュアアドベンチャーゲームです。椎名軽穂さん原作の人気少女漫画『君に届け』をもとに、主人公・黒沼爽子の高校2年生の春から始まる新たな物語を描いています。前作『育てる想い』のシステムを継承しつつ、新しい季節とイベントを通じて、爽子の心の成長と恋の行方が丁寧に描かれました。

プレイヤーは爽子として、クラス替えや学校祭、デートや友情など、日常の中でさまざまな選択を重ねていきます。物語は“こころがけ”という行動指針を選ぶことで進行し、爽子の気持ちが水として蓄積され、それを「きっかけの種」に与えることで花が咲き、イベントが発生します。選んだ“こころがけ”によってストーリーが分岐し、複数のエンディングが用意されています。風早翔太との関係だけでなく、吉田千鶴や矢野あやねとの友情、三浦健人との新たな関係性など、原作の魅力を多角的に体験できます。

本作には、前作『育てる想い』を収録したスペシャルパックも存在し、時系列に沿って両作品を連続して楽しむことができます。さらに、女子向けファッションブランド「LIZ LISA」とのコラボレーション衣装も登場し、爽子の着せ替え要素として活用できます。原作の繊細な感情描写をゲームとして再構築し、プレイヤー自身が爽子の心を育てる体験ができる構成です。

ニンテンドーDSのタッチペン操作と2画面を活かし、選択や演出が直感的に行えます。アドベンチャーパートでは、キャラクターの表情や背景演出が細かく描かれ、原作の雰囲気を忠実に再現しています。本作は、恋と友情、そして自分の気持ちを伝える勇気をテーマにした作品として、少女向け恋愛ゲームの中でも高い完成度を誇ります。

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