『ファンタシースターZERO』(Phantasy Star ZERO)は、2008年12月25日にセガからニンテンドーDS向けに発売されたアクションRPGで、家庭用携帯機で初めて本格的なオンラインプレイを実現した『ファンタシースターオンライン』の流れを汲む完全新作です。開発はセガの第三CS研究開発部が担当し、シリーズの伝統を継承しつつも、DSという新たなプラットフォームに合わせた独自の進化を遂げています。

本作の舞台は、かつて文明が滅びた後に復興を遂げつつある惑星。プレイヤーはヒューマン、ニューマン、キャストの3種族からキャラクターを作成し、14種類の職業タイプから選択可能。ストーリーモードでは、種族や性別によって異なる視点から物語が展開され、選択肢によってエンディングが変化するマルチエンディング方式が採用されています。

ゲームシステムは『PSO』をベースにしながらも、DSの特性を活かした「ビジュアルチャット」や「アクションパレット」などの新要素を導入。戦闘では「緊急回避」や「ガード」、「チェインコンボ」などが加わり、アクション性が大幅に向上しています。また、マグ育成やマテリアルによるステータス強化、グラインダーによる装備強化など、やり込み要素も充実しています。

通信面では、ニンテンドーWi-Fiコネクションを利用したオンライン協力プレイに対応しており、最大4人でのマルチプレイが可能。さらに、DSワイヤレス通信によるローカルマルチプレイにも対応しており、友人同士での協力プレイも楽しめます。特に、タッチペンで描いた文字やイラストを使って会話できる「ビジュアルチャット」は、言語の壁を越えたコミュニケーション手段として高く評価されました。

本作には、全101階層に及ぶ高難易度ダンジョン「エターナルタワー」や、レアアイテム収集、隠しマップ、NPCとの好感度イベントなど、シリーズファンを唸らせる要素が多数盛り込まれています。グラフィックはDSの性能に合わせて最適化されており、水面の反射や光の演出など、携帯機とは思えない表現力も魅力のひとつです。

『ファンタシースターZERO』は、PSOの精神を受け継ぎつつ、DSという新たな舞台でシリーズの魅力を再構築した意欲作であり、後の『ポータブル』シリーズや『PSO2』にも影響を与えた重要な作品といえるでしょう。