『「女性の品格」塾 DS 〜強く 優しく 美しく〜』は、300万部を超える大ベストセラーとなった新書『女性の品格』を題材としたマナー学習・実践ツール。2008年10月23日にPHP研究所からニンテンドーDSで発売されました。本作は出版元であるPHP研究所のゲーム市場参入第1弾タイトルであり、社会現象とも呼べるブームを巻き起こした原作の内容を、携帯ゲーム機の特性を活かしてインタラクティブに学べるよう再構成しています。プレイヤーは「品格塾」の生徒となり、仕事や私生活で輝くための振る舞いを身につけていきます。
ゲームの進行は、性格や立場の異なる3人のOLが登場するミニドラマを閲覧し、そこから出題されるクイズに答える形式が主軸となります。「美しいお辞儀の角度」や「正しい敬語の使い方」といった社会人の基本から、冠婚葬祭のしきたりまで、全7章・70講義にわたるカリキュラムをこなしていきます。タッチペンで選択肢を選んだり、カレンダー機能に記念日を登録したりといった操作が可能ですが、基本的には画面上のテキストを読み進めることがプレイの大半を占めており、ゲームというよりは「クイズ付きの電子書籍」に近い手触りです。
特筆すべきは、原作者である坂東眞理子氏が監修を務め、ゲーム内にも「塾長」としてキャラクター化されて登場する点です。しかし、ターゲット層である大人の女性がわざわざDSでプレイするには内容が初歩的すぎ、逆にゲームユーザーにとっては単調なテキスト送りが続くため、どの層に向けて作られたのかが不明瞭な作品となっています。また、クイズに正解して「品格の庭」という箱庭を育てる要素もありますが、ビジュアルの変化に乏しく、継続的なプレイの動機付けとしては弱いと言わざるを得ません。
画面の中のクイズでマナーの知識を得ることは第一歩に過ぎず、品格とは実際の手書き文字や、ふとした瞬間の心遣いに表れるものである。デジタルな文字入力ではなく、相手を想いながらインクを走らせるための上質な万年筆や、季節の挨拶を綴るための和紙のレターセットは、形式的な知識を「生きた教養」へと昇華させるための実践的なツールとなる。













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