『LUX-PAIN -ルクス・ペイン-』は、人々の精神に寄生し、殺意や絶望を伝染させる「サイレント」と呼ばれる存在との戦いを描く伝奇ジュブナイル・アドベンチャー。2008年03月27日にマーベラスエンターテイメントからニンテンドーDSで発売されました。物語の舞台は、歴史ある街並みが残る架空の都市「如月市」。主人公・西条篤樹(アツキ)は、サイレントを抹消する力を持つ組織「FORT」のエージェントとして、学生を装い如月学園へ潜入します。一見平穏に見える学園生活の裏側で進行する集団失踪や猟奇事件。アツキは仲間たちと協力し、特殊能力を駆使して人々の心に巣食う闇を暴き、街を覆う悲劇の連鎖を断ち切るために戦います。
ゲームプレイは、学園や街を移動して情報を集めるアドベンチャーパートと、サイレントを見つけ出して浄化する「Σ(シグマ)」モードの2つで構成されています。Σモードでは、DSのタッチスクリーンを「精神世界への窓」に見立て、怪しい場所をタッチペンでこすって(削って)現実空間に潜む残留思念やサイレントを可視化します。敵を見つけ出した後は、画面に特定の「源種文字(漢字のような記号)」を素早く刻むことで、相手を攻撃・浄化します。また、会話中には相手の感情を読み取ったり、自分の感情を伝えたりするシステムもあり、言葉には出さない本音を探ることが事件解決の糸口となります。
本作の独自性は、タッチペンで画面を「削る」という行為が、他人の心の奥底を覗き見る背徳感や緊張感とリンクしている点です。岸和田ロビン氏によるスタイリッシュかつ退廃的なキャラクターデザインと、伊藤賢治氏・安瀬聖氏による高品質なサウンドが、美しくも不気味な世界観を構築しています。シナリオは明るい学園生活と凄惨な事件が交互に描かれ、プレイヤーの精神を揺さぶる重厚なドラマが展開されます。豪華声優陣によるフルボイスに近い演出(主要イベント)も魅力で、深夜アニメのような没入感を味わえる作品です。
本作は、人間の精神への干渉や、集団心理の暴走といったテーマを扱っています。他人の夢や深層心理に入り込んで事件を解決するという設定に惹かれた方は、筒井康隆氏のSF小説『パプリカ』や、そのアニメ映画版に触れることで、精神世界の冒険が持つサイケデリックな恐怖と魅力をより深く味わうことができます。
パプリカ (新潮文庫)













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