『It’s tehodoki! 般若心経入門』は、ニンテンドーDSのタッチパネル機能を活用して仏教の教えに触れる、異色のカルチャー&実用ソフトです。2007年8月9日にASNetworksからニンテンドーDSで発売されました。本作は「It’s tehodoki(イッツ・テホドキ)」という、手習いや入門をテーマにしたシリーズの一つであり、最もポピュラーなお経である「般若心経」を、いつでもどこでも手軽に学び、実践できることを目的としています。プレイヤーは電子の筆(タッチペン)を手に、心の安らぎを求めて修行に励みます。
このソフトの核となるのは、下画面に表示されるお手本の漢字をタッチペンで丁寧になぞる「写経」モードです。紙と墨を用意する手間をかけずに、電車の中でも休憩時間でも、少しずつ徳を積むことができます。また、SF漫画の巨匠であり、精神世界への造詣も深い漫画家・桑田二郎氏による「仏画」の塗り絵モードや、般若心経の現代語訳による解説も収録されています。さらに、合成音声による読経機能も搭載されており、お経の音程や速度を自由に調整して、自分に合ったリズムで唱和することも可能です。
ゲーム的な攻略要素や派手な演出は一切なく、ひたすら文字を書き、お経を聞くというストイックな作りです。合成音声による読経は、人間の肉声とは異なる独特の無機質さがあり、シュールな雰囲気を醸し出していますが、練習用としては機能します。「ゲーム機でお経を読む」という行為自体がニッチですが、写経道具一式を揃えるハードルを感じている人にとっては、デジタルならではの手軽さで仏教の世界に入門できるユニークなツールとなっています。
デジタル画面での写経で心を落ち着ける感覚を掴んだら、次は実際の筆と墨を使って、紙の上に文字をしたためてみるのが良い修行になります。墨の香りには精神を鎮めるアロマテラピー効果もあり、硯(すずり)で墨を磨る静かな時間は、忙しい現代人が忘れている「無」の境地へと誘ってくれます。













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