『イコールカードDS』は、表に数字か四則演算記号、裏に「=」が書かれたカードを使用し、1枚を裏返して等式を成立させる実在のアナログカードゲームをデジタル化したソフトウェアである。タッチペンでカードを掴んで並べ替え、タップで裏返すという動作により、指定された条件の計算式を構築する。出題数が100万問以上用意された「イコールドリル」や、場に出たカードと等式を作る「イコールならべ」などのモードが実装されており、プレイヤーはひたすら四則演算の処理を要求される。

しかし、足し算や引き算といった小学生レベルの算数を題材にしながら、ルールとインターフェースが極端に難解であるという事実が評価を下げた。当時の購入者レビューや検証サイトでは、「内容的には小学生でも全問正解できるはずが、大人がプレイしてもシステムが理解できない」という報告が記録されている。チュートリアルや導線の不足により、計算式の正誤以前に「今どういうルールでどのカードを動かせばクリアになるのか」を把握する作業に時間を奪われる。

さらに、画面の視認性の悪さと難易度調整の欠落も不満点として挙げられている。「画面が見づらい」「いらいらする」といった物理的な見にくさが指摘されており、携帯型ハードでの快適さが欠落している。また、100万問以上の大ボリュームを謳うドリルモードは、ゲームが進行しても難易度が上昇せず、さくさくとクリアできてしまう仕様となっている。プレイヤーは視認性の悪い画面を凝視しながら、難易度が変化しない機械生成の算数ドリルを無限に繰り返す状態に置かれる。

ニンテンドーDSの普及期には、『脳を鍛える大人のDSトレーニング』の成功に追従する形で、多数のパズルゲームや学習用ソフトウェアが市場に投入された。対象ソフトウェアも、小学館の学年誌の付録として流通したカードゲームをデジタル化し、「脳を鍛える」という文脈でパッケージングされた企画である。しかし、アナログのカードを並べるという物理的な操作感を、視認性の低い小さな画面上のタッチ操作に落とし込んだ結果、元のカードゲームが持っていた直感的な遊びやすさは消失した。100万問という数値をソフトウェアの強みとしながら、プレイヤーに対する適切な難易度曲線や報酬システムを構築しなかった設計は、当時の「DSのタッチ機能と学習要素を組み合わせれば製品になる」という開発環境の痕跡である。ユーザーの理解を置き去りにしたインターフェースと、平坦な計算作業の反復という事象が、知育ゲームが粗製濫造されていた時代の実態を物質的に示している。

【イコールカードDS】

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