Article 2026/3/25
【DS】オセロdeオセロDS
【DS】オセロdeオセロDS
game-list
ゲーム情報
| タイトル | オセロdeオセロDS |
|---|---|
| ジャンル | テーブルゲーム(オセロ) |
| パブリッシャー | メガハウス |
| 発売日 | 2008年06月12日 |
| 対応ハード | ニンテンドーDS |
| レーティング | CERO A |
| 提供形態 | 中古ショップ等で探しましょう |
| 特徴 | DS普及期に粗製濫造されたタレントゲームの一つであり、オセロという定番ゲームに不必要な音声とストーリーを付加した結果、早々に中古価格が下落した。現在でも中古市場のワゴンセールにおいて数百円で取引される常連ソフトとして流通している。 |
『Othello オセロdeオセロDS』は、思考型ボードゲームに必須とされる静寂と集中力を、お笑い芸人のサンプリングボイスによって物理的に破壊する。日本オセロ連盟公認という本格的なパッケージングでありながら、実態は当時人気を博していたお笑いコンビ「オセロ」の2人が対局に介入してくるタレントゲームである。プレイヤーが石を打つたびに、ディフォルメされた芸人のキャラクターが画面に現れ、「240種類以上」と謳われるツッコミや相槌を音声で放つ。数手先を読むための脳の演算リソースは、下画面から唐突に出力される漫才のガヤによって悉く強制終了させられる。
ゲーム内には、実力を測る「オセロ力検定」と呼ばれる詰め将棋のようなクイズモードが実装されている。しかし、盤面を解析して最善手を導き出すというゲーム性に対し、システム側は「制限時間10秒」という極端な猶予しか与えない。プレイヤーは盤面の状況を把握する間もなく時間切れによるペナルティを課され、思考ゲームとしての根幹が完全に崩壊している。当時の購入者レビューにおいても「じっくり考えたいのに時間制限でミスになる」という具体的な不満点が提示されており、インターフェースとゲームの目的が乖離している実態が記録されている。
さらに特異な仕様として、お笑いコンビ「オセロ」の結成から芸能界での成功までを追体験するストーリーモードが収録されている。二人が出会ってからタレント養成所に入り、芸能界へ羽ばたくというサクセスストーリーの合間に、なぜか通常のオセロの対局が挿入される。漫才の練習やオーディションの合否を盤上の白黒の石で決着させるという、文脈が完全に狂った展開がエンディングまで連続する。「名前が同じである」というだけの理由で、タレントの伝記とボードゲームを強引に結合させた結果、プレイヤーは「芸人の下積みをオセロで解決する」というシュールレアリスムの世界に放り込まれることとなった。
ニンテンドーDSの市場拡大期には、実用ソフトや定番のテーブルゲームに付加価値をつけるため、異業種との強引なコラボレーションが多数企画された。発売元のメガハウスはオセロの商標権を持つメーカーであり、自社IPの売上を伸ばすための施策として、当時テレビで活躍していた同名のタレントを起用した。しかし、長考を要するゲームにおいて「頻繁に喋りかけてくるキャラクター」は物理的なノイズでしかなく、タレントの伝記をストーリー化する仕様はオセロ愛好家の需要と完全にすれ違っていた。「名前が同じだから」という駄洒落のような企画書がそのままフルプライスのパッケージソフトとして流通し、プレイヤーの集中力を奪い続けたという事実は、当時のDSバブルにおける資本主義的な判断基準を物質的に証明している。