『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』は、幼い頃に死んだはずの少女「めんま」が突然主人公の前に現れたことをきっかけに、疎遠になっていた幼なじみたちが再び交錯する青春アドベンチャーです。かつて「超平和バスターズ」と名乗って秘密基地で遊んでいた仲間たちが、消えない後悔や現在の自分に対する葛藤と向き合いながら、めんまの「お願い」を叶えるために奔走します。埼玉県秩父市をモデルにしたノスタルジックな風景の中で、思春期特有の痛みを伴う繊細な人間ドラマが展開されます。
ゲームは、主人公の宿海仁太(じんたん)を操作して町を探索し、仲間たちと会話を重ねることで進行するアドベンチャー形式を採用しています。アニメの物語をなぞりつつ、日々の行動や選択肢によって展開が分岐していくのが最大の特徴。マップ上で「おもいで」の品を集めたり、各キャラクターが抱える悩みに寄り添ったりすることで、アニメでは描かれなかったゲームオリジナルのエピソードや、新たな結末へと辿り着くことができます。
PSPという携帯機向けに制作された本作は、アニメの感動を手元でじっくりと反芻できるパッケージとして機能しています。声優陣によるフルボイス収録に加え、新規で描き下ろされたイベントグラフィックが多数追加され、物語の没入感を大きく底上げしています。ただ映像を見るだけの受動的な鑑賞から、プレイヤー自身の選択で幼なじみたちの止まっていた時間を動かしていく能動的なアプローチへと変化しており、作品世界に深く入り込むプレイ体験をもたらします。
2011年に放送されて社会現象を巻き起こし、実在する舞台への「聖地巡礼」ブームを牽引したオリジナルアニメのコンシューマーゲーム版です。映像作品では語りきれなかったサブキャラクターたちの隠された本音や、もしも別の選択をしていたらという「if」の物語をゲーム媒体で補完するアプローチがファンの支持を集めました。アニメの放送終了後に発売された本作は、熱狂的なムーブメントの余韻が残る中で、ファンが再び「あの花」の空気に触れ、自分たちの手で彼らの青春に介入できる貴重な機会を提供したメディアミックスの成功例として記憶されています。













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