Article 2026/3/28
【3DS】燐光のランツェ
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『燐光のランツェ』は、ニンテンドー3DSのダウンロード専売ソフトとして配信されたドッグファイトアクションである。プレイヤーは自機を操作し、飛行形態と格闘形態を切り替えてステージをクリアしていく。しかし、ゲーム開始直後にチュートリアルが存在せず、「とりあえず試してみて」というテキストと共にプレイヤーは戦場へ放り出される。操作には3DSのほぼ全てのボタンを使用する上、最初のステージの雑魚敵からの被弾ダメージが極端に大きく設定されているため、多数の購入者が操作を覚える前に撃墜されてゲームオーバー画面を見ることになる。
戦闘システムにおいても、理不尽なロックオンの仕様がプレイヤーの進行を物理的に阻害する。至近距離の敵を攻撃したい状況であっても、システムは視界外にいる遠距離の敵を優先してロックオンしてしまう。さらに、敵機を撃墜した後も数秒遅れてホーミングミサイルが飛んでくる「フェイント弾」が実装されている。格闘形態では自機が空中に静止するため、ロックオンの不自由さと死角からのミサイルが合わさり、回避不能のダメージを蓄積していく状態が稼働している。ステージ中に回復ポイントは存在せず、撃墜されればステージの最初からやり直しとなる。
また、ステージクリア時のポイントで機体パーツを購入する強化システムが存在するが、高額なパーツであっても「一部のパラメータが上がる代わりに別のパラメータが下がる」という仕様である。そのため、長時間の周回プレイでポイントを稼いでも自機が純粋に強化されることはない。さらに、周回プレイで同じステージを繰り返す際、オペレーターの女性のフルボイスによる通信音声がオフにできず、スキップにも十字キーの連打が必要となる。難易度の壁を越えるための稼ぎ作業において、自機が強くならない徒労感と、スキップしづらい同じ音声を延々と聞かされる物理的苦痛がシステムとして構築されている。
2010年代の3DSダウンロード市場は、小規模なメーカーが独自の企画を直接配信できるプラットフォームとして機能していた。開発元のアムジーも高いプログラミング技術を持ち、本作において「立体視と60fpsの両立」「ステージ背景の使い回しなし」といったハードウェアの性能を引き出す描写を実現している。しかし、アクションゲームとしての難易度曲線の構築が放棄されており、回復アイテムなし、死ねば最初からというレトロゲームのシビアな文脈がそのまま現代の3DSに持ち込まれた。結果として、操作に慣れる前のプレイヤーをシステムの壁で徹底的に選別する構造となり、技術力の高さとゲームバランスの破綻が同居する特異なソフトウェアとして配信データ内に記録されている。