『いつか、届く、あの空に。 〜陽の道と緋の昏と〜』は、現代の地方都市を舞台に、旧家同士の対立や「神」と呼ばれる存在の謎を描いた伝奇恋愛アドベンチャーゲームです。2007年10月25日にラッセルからPlayStation 2で発売されました。

本作は、PCゲームブランド「Lump of Sugar(ランプオブシュガー)」の出世作となった『いつか、届く、あの空に。』の家庭用移植版です。主人公・巽策(たつみ さく)は、かつて暮らしていた「弐刻市(にこくし)」へ数年ぶりに帰郷します。そこは、人間と「神」が共存するという不思議な伝承が残る土地でした。プレイヤーは策となり、この街を支配する二大名家である「桜守姫(おうすき)家」と「透舞(とおまい)家」の争いに巻き込まれながら、キツネ耳のような器官を持つ少女や、謎めいたクラスメートたちと関わり、自身の出生の秘密や街の真実に迫っていきます。

最大の特徴は、萌木原ふみ氏による透明感あふれる可愛らしいキャラクターデザインと、シナリオライター・朱門優氏による哲学的で重厚なテキストとのギャップです。一見するとほのぼのとした学園モノに見えますが、物語が進むにつれて複雑な人間関係や因習が明らかになり、独特のルビや言い回しを多用した文章が世界観を深めていきます。PS2版では、PC版で人気の高かったサブキャラクター「雲井霧(くもい きり)」が攻略対象として昇格し、新たなエンディングやイベントCGが追加されました。

評価については、可愛らしいビジュアルに惹かれてプレイした層を驚かせるほど、シナリオが本格的で読み応えがある点が挙げられます。特に「空」や「雲」をメタファーとした詩的な表現は美しく、伝奇ミステリーとしての完成度も高いです。一方で、独特すぎるテキストは人を選ぶ傾向にありますが、一度ハマればその世界観から抜け出せなくなる魅力を持っています。

本作の象徴は、どこまでも高く広がる「空」と、そこに浮かぶ「雲」です。主人公たちが空を見上げて何かを想うように、空の表情は人の心に静寂をもたらします。部屋の中にいながらにして、刻々と変わる空の色や雲の形を楽しめるインテリアで、癒やしの空間を作ってみてはいかがでしょうか。

天候によって結晶が変わるストームグラス(雲型)

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