Article 2026/3/22
【DS】キモかわE!
game-list
『キモかわE!』は、夏休みの風間町を舞台に、人間界へと迷い込んだ魔界の住人「魔界っ子」たちと奇妙な同居生活を送るアドベンチャー。ある日突如として開いた地獄門から現れたのは、美少女の皮を被った規格外のトラブルメーカーたち。ケルベロスの習性で電柱に粗相をし、道端のゴミを平然と拾い食いする彼女たちの異様な生態を正すべく、中学生の主人公は30日間にわたる「しつけ役」を命じられる。常識の通じない異界の少女たちとのドタバタな日常が、DSの画面いっぱいに展開される。
ゲーム進行の要となるのは、日常を描くテキストパートと、彼女たちの問題行動を正す「しつけ」のミニゲーム。会話の途中でタッチペンを画面に滑らせ、「いい子いい子」と頭を撫でて機嫌を取るか、あるいは鋭いツッコミを入れて軌道修正を図るかの選択が求められる。人間界のルールから逸脱した際には、タッチペンによる「お尻ペンペン」などの直接的な罰則モードへ突入。異種族間のカルチャーショックを、プレイヤー自身の指先を使ったスキンシップへと直結させることで、奇妙な愛着を生み出すシステム。
本作の特筆すべき点は、携帯機でありながら実装された膨大な音声データ。福原香織や下田麻美をはじめとする声優陣のフルボイス演出が、魔界っ子たちの突拍子もない奇行に生々しい説得力を付与している。人間界の常識を教え込むというストイックな作業の果てに、ただ気持ち悪いだけだった彼女たちの言動が、いつしか愛おしいものへと反転していく。非常識な異種族との交流を通じてプレイヤーの嗜好を揺さぶる、特異なコンセプトを持つギャルゲー。
『キモかわE!』は、5pb.が自社IPとして立ち上げた完全オリジナルタイトル。当時『STEINS;GATE』などの科学アドベンチャーシリーズで頭角を現しつつあった同社が、ギャグと微量のフェティシズムを融合させて実験的に世に送り出した。ゲームの発売と並行して一迅社の「まんがぱれっとLite」にてコミカライズ版が連載。ゲーム版のプロデューサーである盛政樹が原作を、キャラクターデザインのあみみが作画をそのまま手掛けるという、純度の高いメディアミックス体制が敷かれた。品行方正なヒロイン像からあえて逸脱し、「残念な生態」を持つ少女たちを直接のタッチ操作で正していくというアプローチは、当時の携帯機市場においても異彩を放つ存在感を示している。