Article 2026/3/26
【DS】恐竜育成バトルRPG 恐竜モンスター
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『恐竜育成バトルRPG 恐竜モンスター』は、タイムマシンで恐竜時代へ赴き最強の恐竜を育成するという設定を掲げながら、プレイヤーの手首と精神を摩耗させる労働環境を提供する。ゲームの根幹である戦闘システムには「ダイノタッチアシスト」という機能が実装されているが、これが致命的なテンポ阻害要因として機能している。攻撃のたびにDSの下画面に表示されるマークをタッチペンで連続してなぞるQTE(クイックタイムイベント)を要求され、これを完璧にこなさなければまともなダメージが算出されない。野生の敵との雑魚戦ですら毎ターンこの操作を強要されるため、RPGとしての戦闘テンポは完全に崩壊している。
さらに当時の検証やレビューにおいて「最強の敵」とまで記録されたのが、自機の攻撃の異常な「命中率の低さ」である。育成時のパラメータ配分を少しでも誤ると、長々としたQTEを完璧にこなした末に放った攻撃が、ただの空振りとして処理される事象が頻発する。弱い敵が相手であっても攻撃が物理的に当たらないため戦闘が長引き、その度に単調なタッチペンのQTEを反復させられる。プレイヤーは「30分程度プレイしただけでイライラが募る」という不快感と向き合い続けることになる。
パッケージには「タッチペンでキミも恐竜バトルに参戦しよう!!」という文章が記載されているが、実態は液晶画面を擦り続けるだけの無機質な作業である。プレイヤーは恐竜の3Dモデリングを鑑賞する余裕などなく、ただ視線を下画面に固定してマークを追い続ける工程をエンディングまで要求される。快適さをシステム側から意図的に排除し、不快なタッチ操作と理不尽な命中率のストレッサーとして稼働した事実は、後年の検証コミュニティにおいて「指が絶滅するQTE地獄」として記録されている。
ニンテンドーDSの普及期から中期にかけては、ハードウェアの最大の特徴である「タッチスクリーン」をゲーム内にどれだけ盛り込めるかが、企画承認の一つの指標となっていた。発売元のエム・ティー・オーは動物やキャラクターの育成ゲームを多数手掛けており、該当ソフトウェアもその体制のもと、DSらしい新機能として「ダイノタッチアシスト」を導入して企画されたものである。しかし、「攻撃の威力を上げるためのタッチ操作」というアイデアを、雑魚戦を含むすべての戦闘ターンで強制させた結果、RPGにおける「手軽なレベリング」という概念は消失した。
ゲームの進行において最も苦痛となる「命中率の低さ」と「無駄に長い入力操作」が複合した状態は、対象年齢層に対するテストプレイが機能していなかった事実を物質的に示している。恐竜という子供向けの強固な題材に依存し、ハードのギミックを無計画に乱用した結果として、ゲームの根本的な構造が瓦解したままプラスチックのカートリッジに封じ込められた時代の痕跡である。