Article 2026/3/26
【DS】まちのペット屋さんDS 〜200匹ワンちゃん大集合〜
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『まちのペット屋さんDS 〜200匹ワンちゃん大集合〜』は、動物とのふれあいを期待するプレイヤーに対し、子犬を商品として仕入れて売却するだけの単調な経営の構造を提示する。可愛い子犬を育てるという名目で開始されるが、最終的な目的は店舗を拡大するための資金(ワンポ)稼ぎであり、プレイヤーに要求されるのは「手入れをした子犬を次々と客に引き渡す」というサイクルの反復である。動物の情操教育というパッケージングの裏で、子犬のパラメータを販売価格へと変換し、ひたすら利益を追求するシミュレーションが稼働している。
当時の購入者や検証サイトから具体的な不満点として記録されたのは、タイトルの詐称とデータの実態である。「ペット屋さん」という名称を冠しながら、ゲーム内に登場する動物は犬しか存在せず、猫などの他の動物は一切収録されていない。さらに「200匹大集合」と謳いながら、実際には数種類の犬種の色違いやミックス犬でパラメータを水増ししているだけであり、グラフィックのバリエーションの乏しさが実機上で確認されている。
また、ゲームの進行自体が極めて単調な在庫管理作業へと陥る仕様が存在する。子犬を仕入れた後、ミニゲームで手入れやしつけを行えば販売価格が上昇するシステムだが、実際には一切の世話をせずに放置していても、ゲーム内時間が経過すれば自動的に客が買っていくという判定が下される。プレイスキルや動物への接触を必要とせず、ただ液晶画面を放置して少額の利益を回収し続けるという「ペット育成の形骸化」がシステム側から許容されており、作業ゲームとしての実態がカートリッジ内に構築されている。
ニンテンドーDSの市場拡大期には、任天堂の『nintendogs』の成功に追従する形で、多数のサードパーティがペット育成ゲームを乱造していた。イーフロンティアが発売した該当ソフトウェアもその市場動向に乗った企画であるが、「動物とのコミュニケーション」ではなく、「店舗の拡大」と「売上の増加」という経営シミュレーションのフォーマットに犬のモデリングを強制的に組み込んでいる。「世話をしなくても時間が経てば売れる」という仕様は、プレイヤーがペットへ抱く愛着をシステム側から剥奪し、動物を単なる在庫のルーチンワークへと変質させた。動物を愛でるためのソフトウェアが、開発コストの都合とゲームデザインの調整不足により、冷徹な在庫管理ツールとして出力されてしまった当時の市場環境を物質的に示している。